Mysterious Questions In The World

世界のミステリーをご紹介します。

スフィンクスの不思議

ギザのピラミッドはブログ「世界の七不思議:ギザの大ピラミッド」(2014-10-06)でご紹介しました。今回は、ギザではピラミッドの守護神と考えられているスフィンクスです。
次のスフィンクスはカイロ博物館収蔵品で、王女ヘテフェレス2世(クフの娘)と考えられています。
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後に触れる仮説と関係ある像ですが、ここでは仮説の詳細は伏せ、重要な問いを投げ掛けておきましょう!
「ライオンの体に載った女の顔は最初から彫られていたのか?それとも後で彫られたのか?」

ギリシャ神話の「スフィンクス」は女と決まっているようですね。広く知られる謎々Riddleがあります。旅人が通るとスフィンクスが「朝は4本足、昼は2本足、夕は3本足のものは何か?」と謎を掛け、答えられない旅人は首を絞められて殺されます。このスフィンクスを懲(こ)らしめたのがオイディプスOedipusで「それは人間だ!何故なら、子供の時は手と足の4本でハイハイし、成人になれば2本の足で立ち、年を取ると杖をついて3本で歩くから」と答えると、スフィンクスは山から身を投げて死ぬのです。実は、答えには、別にいくつかあるのですが、どれも哲学的というか捻(ひね)り過ぎと言うか、要はmhのような凡人には理解しがたいものなので、ここでお教えしても「そうなの?それでぇ?」と言う間の抜けた反応しか頂けないと思いますから(?)省略しておきます。なお、オイディプスは神話の中の人物で、その点はスフィンクスも同じです。

エジプトでスフィンクスの像が初めて造られた時、何と呼ばれていたかについては記録がありません。後世に造られた「夢の碑文Dream Stele」では「ホル・エム・アケトHor-em-akhet (地平線のホルス;隼の神)」と呼ばれています。その碑については、おいおい解説させて頂きます。ってことで、スフィンクスについては謎だらけですねぇ!

体は動物で顔は人間で、時には翼も持つスフィンクスですが、初めて出現したのは今から1万年以上も前の紀元前9千5百年頃で、トルコのコルティク・テペKortik Tepeで発掘された土器に描かれていました。
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ひょっとするとこれか?という別の写真もありましたので念のため載せておきますが、紀元前9千年にこんな高度な芸術品を造っていたとは思えませんから、違う時代の違う場所で造られたスフィンクスだと思います。
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他のスフィンクスの例をご紹介しておきましょう。
アッシリアの神ラマススLamassu:紀元前721年。シカゴ大学所蔵
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古代ギリシャの聖地デルフィDelphiのスフィンクス。女です。
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ペルシャ帝国の首都の一つスサSusaのダレイオス大王Dareios Iのスフィンクス:紀元前480年
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ハトシェプスト葬祭殿のハトシェプストのスフィンクス:カイロ博物館所蔵
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今回取り上げるスフィンクスは勿論「エジプト・ギザの大スフィンクス」です!
次の写真は今から約160年前の1858年に撮影されました。かなり砂に埋まっています!後方はクフの大ピラミッドです。
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Wikiによれば「一枚岩から彫り出された世界最大の像。いつ造られたか判っていないが、頭はカフラー王Khafra(在位:紀元前2520年~2494年)のものではないか、と信じられている」とあります。カフラーだと言う根拠はスフィンクスの後ろに彼のピラミッドがあり、スフィンクスの脇を通る道Causewayが彼のピラミッドに続いていることと、前述の「夢の碑文Dream Stele」(実はスフィンクスの2本の前足の間に建っています!)に「Khaf」と(勿論ヒエログリフで)記されているからです。別に見つかっているカフラー像の顔と似ていると考える人もいるようです。スフィンクスとピラミッドの位置関係は次の地図でご確認下さい。
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その他の有力な説は、スフィンクスはカフラーではなく、彼の父クフKhufuではないかというものです。どちらであろうが、また、この二人でなくたって、私たちの暮しには何の影響もないのですが、実は、今回のブログは「ピラミッドは誰が建てたのか?誰の顔か?」を解き明かそうというものでして、これから長々と続く解説は寛容と忍耐を持ってご覧戴かねばなりません!ご容赦下さい。

ネット上には、スフィンクスに関するYoutubeは沢山ありますが、1時間以内で、手っ取り早く解説してくれる次の2つをチェックしてみました。いずれも50分程度で、テーマは「誰がスフィンクスを造ったのか?」でした。もしご関心があれば、このブログを読み終えてからご確認下さい。
Riddle Of The Sphinx(スフィンクスの謎々)
https://www.youtube.com/watch?v=JSrnWXmQ_bw
Sphinx - Mystery In Stone
https://www.youtube.com/watch?v=vFk7f84WTNM

mhの結論を言うと、確固たる証拠もないまま、わずかな手掛かりから2人の考古学者が異なる持論を主張しているだけで、さて、どうしたものか・・・と悩んでいたら、Smithsonian.Com(スミソニアン博物館は関係ないようです)で公開されているビデオが見つかりました。異なる学者が、テーマ別に、美しい映像で、かつ判り易く解説してくれるもので、今回はこれに従ってご紹介させて頂きます。
4部作です。
1)The Pharaoh Who Found the Sphinx
スフィンクスを見つけたファラオ
2)This Wasn't Supposed to be a Sphinx
実はスフィンクスじゃなかった(!!??)
3)Whose Face is on the Sphinx?
スフィンクスは誰の顔か?
4)Who Built the Great Sphinx?
誰がスフィンクスを建てたのか?

1) The Pharaoh Who Found the Sphinx
世界最大の動物像のスフィンクス。
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最近、近くで石の塀(へいwall)が見つかった。
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調べてみると実はとても長い塀だった!
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スフィンクスと、その前の2つの寺院を取り囲んでいたのだ!
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スフィンクスをピラミッドの守護神だと考えている人は多い。しかし、見つかった塀が「スフィンクスと神殿の複合体Temple Complex」を全て取り囲んでいるということは・・・守護神自身が祀(まつ)られているかのようだ!!!誰が守護神で、それは何故か?

スフィンクスの2本の前足の間に「夢の碑文Dream Stele」と呼ばれる石碑が建っている。
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碑文のカルトゥーシュ(注)によれば建てたのはトトメス4世だ。
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(カルトゥーシュ (cartouche):ヒエログリフで描かれたファラオの名を囲む長円です)

トトメス4世(紀元前1419年 - 1386年)は、ギザの大ピラミッドをつくったクフ王から1千年も後のファラオだ。
「夢の碑文」上方の左右にトトメス4世が、中央に2匹のスフィンクスが彫られている。
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右側ではトトメスがスフィンクスに香を献上している。
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左側では水瓶(みずがめ)で水を献上している。
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いずれもスフィンクスは跪(ひざまづ)いてトトメスの献上品を受け取っている。

碑文によるとこうだ。トトメスが偶然この地を通るとスフィンクスは砂に埋まっていた。見えていたのは頭だけだ。近くで昼寝をすると夢にスフィンクスが現れた。「私を砂から掘り出してくれたら王にしてあげよう。」トトメスは王位継承の予定はなかったが、兄が死んでスフィンクスの予言通りになったのだ。

もしトトメスが見つけなければスフィンクスは今も砂の中で眠ったままだったかも知れない。

2)This Wasn't Supposed to be a Sphinx
ギザのスフィンクスではライオンの体に人間の頭が載っているが、アンバランスだ!体に比べて頭が異常に小さい!
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腕の長さと比べても頭が小さすぎる!
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そこで、こんな仮説が成り立つ。
「スフィンクスは永い間、頭だけ砂の上に出して埋まっていた(mh:これは事実です)。従って頭だけ風化が進んでぼろぼろになっていた(mh:合理的な帰結です)。そこで頭を削り直して今の顔ができた!(mh:この部分は仮説)」

仮説が正しいとしたら、初めはどんな顔だったのだろう?きっと、体と同じライオンだったに違いない!
古代、ライオンは神聖で偉大な動物と見なされていた。
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ライオンは力があり、権力を持つ王に相応しいシンボルだ。王が愛用する器具にもライオンの像は使われていた。
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アブシンベル神殿を建てたラムセス2世も、ペットのライオンを戦いに連れていった。
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ピラミッドが出現する数十年前からライオンのレリーフも造られている。
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多くのライオン像と同様、このライオンもメスだ。髭が無い!このプロファイルをスフィンクスに重ねるとこうだ!
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ギザのスフィンクスは当初はライオンだったのだ。スフィンクスではなかった!頭の風化がひどく、修理する時に人間の顔を持つスフィンクスに生まれ変わったのだ!
これは決して荒唐無稽(こうとうむけい)な思い付きではない!カイロ博物館に展示されているエジプト最古のスフィンクス像を見ると判る。ライオンだった頭を加工して女性の顔にしたと考えて良いだろう。ギザでも同じことが行われたのだ。
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3) Whose Face is on the Sphinx?
スフィンクスはピラミッドを訪れる人を待ち構えているようだ。スフィンクスの後ろに控えるのはカフラーのピラミッドだ。
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この光景はギザの北東の町カイロから訪れる人が最初に目にするものだ。しかし、昔は違っていた!

クフ王(在位紀元前2589年~紀元前2566年)の時代の首都は、ギザの南東約20Kmのメンフィスだ。この町から王の墓を訪れると、次のシーンが目に飛び込んできたはずだ。スフィンクスの後ろにクフのピラミッドがある!
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顔を横から見ることが当時の人々の視覚に重要な影響を与えていたことは壁画を見れば判る。エジプトではプロファイル(横顔)が好まれていたのだ!
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メンフィスから王の墓を訪れた人々は、スフィンクスがクフを守護していたと考えたはずだ!

古代エジプトでは方角は重要だった。ギザのピラミッドも正確に東西南北に面して造られている。ギザの大スフィンクスも真東を向いて座っている。しかし、スフィンクスの脇を通ってカフレーの遺体をピラミッドに運んだ道Causewayは真東に向かず、スフィンクスの方向に傾いている!
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理由はこうだ!カフレーのピラミッド建設よりも前にスフィンクスは既にそこにあった!だからスフィンクスに向けた道Causewayを造った。つまり、スフィンクスを造ったのはカフレーではない!

カイロ博物館(エジプト考古学博物館)にはクフ王の像が展示されている。
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顔の幅は広く、目は窪み、耳は前に倒れている。スフィンクスにとても似ている!
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カフレーの顔だとすると、カフレーがいつも付けていた髭がないのは不自然だ!
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一方、クフは、どの像にも髭がない!スフィンクスはカフレーではなくクフで間違いない!

そうは言っても大きな疑念は残っている。カイロ博物館のクフ像は高さが7.5cmだ!!!
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顔の類似性を検証するには不十分と言われる所以だ。

参考:スフィンクス前の2つの寺院
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“カフラーの谷寺院”(左) とスフィンクス寺院(右)

mh:ギザのスフィンクスの髭ですが、実は見つかっています!前足の間に落ちていました!
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しかし、考古学者達の意見によれば間違いなくオリジナルの髭ではありません!髭の編み方が格子状で、スフィンクスが造られた当時の水平の編み方と異なります。顎(あご)にも髭が付いていた痕跡はありません。従って、見つかった髭は、後で付けられたもので、それが崩れて足の間に落ちていた、というのが考古学者の見解です。
この髭は大英博物館に保管されています。紀元前14世紀に造られたようです。昔の髭の編み方については既出のハトシェプストのスフィンクス写真でご確認下さい。

4)Who Built the Great Sphinx?
スフィンクスはクフかカフラーが建てたようだと広く考えられている。二人ともギザにピラミッドも建てている。しかし、本当だろうか?

クフ王にはカフラーより年長の息子がいた。ジェデフレーDjedefreだ。
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考古学者たちは長い間ジェデフレーをスフィンクスの建設者候補リストから除外していた。というのは、彼は王家から追放されていたと考えられていたからだ。
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噂によれば、自分が王位を継ごうと兄カワフレーを殺害し、それがために一族から追い出されていた。そんな男がスフィンクスを建てるわけがない!
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しかし、ギザで見つかった新たな証拠がジェデフレーの悪い噂を吹き消したのだ!
クフのピラミッドの裾(すそ)で見つかった「太陽の船」。クフが死後の旅で困らないように造られ、埋葬されていたものだ。
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船を造ったのはクフ王自身だと思われていた。生前も使っていて、死後も使うつもりで解体し、ピラミッドの近くのピットに埋葬して保管したと見られていた。
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船に乗って太陽は天を回り、夜の次には必ず朝が巡ってこなければならない。だから船は死後の世界でも大切な乗り物だった。
「太陽の船」の部材は解体され、クフのピラミッドのそばに掘られたピットに整然と保管されていた。
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(mh既出の「太陽の船博物館」はこのピットから数mの場所に造られています)
そのピットの壁に、2ヶ所、ジェデフレーの名が残されていたのだ!
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ジェデフレーは王位に就いていた。だから父クフの葬儀で重要な役を務めたのだ!彼が父クフを讃えてスフィンクスを建てた可能性が高い。
(以上がVideoの紹介です)

ジェデフレーはWiki「ファラオの一覧」にファラオとして記載されています。
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彼のピラミッドも見つかっています。
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Wiki:ジェデフレーのピラミッド跡はギザから北7.5キロのアブ・ロアシュにある。
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構造はクフのピラミッドと異なり、エジプト第3王朝のピラミッドのように先に玄室をつくり、その上に建築する手法をとっている。ピラミッド自体はメンカウラー王のものとほぼ同じ大きさであったことが判明し、高台に建てたことで全体的な高さとしてはクフ王のものより高いピラミッドであったようだ。花崗岩で底辺部を覆った大変美しいピラミッドだったと推測されている。

<カイロ博物館(エジプト考古学博物館Egyptian Museum)の秘宝>
クフの坐像(高さ7.5 cm)
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ツタンカーメンの黄金の玉座
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ツタンカーメンの黄金のマスク(金とラピスラズリ)
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展示室
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博物館の外観
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ブログで紹介したSmithsonian.ComのVideoは次のURLでお楽しみ頂けます。それぞれ15分足らずです。
1)The Pharaoh Who Found the Sphinx
http://www.smithsonianmag.com/videos/category/3play_1/the-pharaoh-who-found-the-sphinx/
2)This Wasn't Supposed to be a Sphinx
http://www.smithsonianmag.com/videos/category/history/this-wasnt-supposed-to-be-a-sphinx/
3)Whose Face is on the Sphinx?
http://www.smithsonianmag.com/videos/category/history/whose-face-is-on-the-sphinx/
4)Who Built the Great Sphinx?
http://www.smithsonianmag.com/videos/category/3play_1/who-built-the-great-sphinx/
(完)
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