Mysterious Questions In The World

世界のミステリーをご紹介します。

アルキメデスの失われた本

Wikiアルキメデス(Archimedes)によると、紀元前287年― 紀元前212年、古代ギリシアの数学者、物理学者、技術者、発明家、天文学者、となっています。
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(ドメニコ・フェティ1620年画)
生まれたのも死んだのもシシリー島で、文字通りシシリー島民にもかかわらずギリシャ人というのは、シシリー島が当時ギリシャ植民地だったからでしょう。
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彼が暮らした町、シシリー島シラクサSiracusaの遺跡。闘技場の跡でしょうか。
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シラクサの町から海に突き出た岬の先には砦もあります。アルキメデスの時代より後に造られたものだと思います。
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ところで、アルキメデスと言えば、いろいろな分野で重要な功績を残しています。
例えば武器の開発で知られています。
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有名なのは「アルキメデスの鉤爪(かぎづめ)」。港の砦の上などに備え付けられた起重機のような機械で、大きな金属製の爪が付いたロープが垂れ下がっていました。
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城壁の下に迫った敵船の側面やマストに、その爪をひっかけて船を持ち上げ、海面に落とします。
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船は横転したり、横揺れで兵士が投げ出されたりしたようで、実際に使われていたようです。

また、円周率π(パイPi)を初めて計算で求めた数学者として有名です。
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彼が活躍した紀元前3世紀以前には、既にπの概念、つまり円の周長は直径のπ倍(3.1415・・・)で一定だということは認識されていたようですが、その値を彼が初めて計算で求めました。以降、1千年以上、彼の計算方法が利用されたほどで、πは「アルキメデス定数"Archimedes' constant"」とも呼ばれていました。
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彼が採用したπの求め方は・・・
円が内接する多角形と外接する多角形を考えます。円の周長は外接する多角形の辺長よりも長く、内接する多角形の辺長よりも短いことが判ります。
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多角形の角の数を5、6、8などと増やしていくと、多角形の辺長は限りなく円の周長に近くなっていくのです。
アルキメデスは結局96角形の辺長が直径の何倍になるのかを計算で求め、その結果、
223/71(3.1408) < π <22/7(3.1429)
を得ました。実際のπ値は・・・
π = 3.14159 26535 89793 23846…………….
彼が得た値は精度が高いことが判ります。

「アルキメデスの原理」」は皆さんも中学生の理科で習ったでしょう。
「流体中の物体は、その物体が押しのけている流体の重さ(重量)と同じ大きさで上向きの浮力を受ける」

この原理の発見について有名な逸話があります。「シシリー島シラクサの僭主ヒエロン2世は、神殿に奉納するために黄金で作らせた「誓いの王冠」について“金細工職人が銀の混ぜ物をしてごまかしていないかどうか確認してほしい!”とアルキメデスに依頼した。」
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「銀は金よりも軽いので密度を調べれば一目瞭然だが、それには王冠を溶かして体積を計算しやすい形に成形せねばならず、壊さずにこれを解決するには何かしら別の手法を考える必要に迫られた。アルキメデスは困り果てたが、ある日、風呂に入ったところ、水が湯船からあふれるのを見て、その瞬間、アルキメデスの原理のヒントを発見したと言われている。」

「アルキメデスは「εὕρηκα!」(Eurekaヘウレーカ!分かったぞ!)と叫びながら、興奮のあまり服を着るのも忘れて裸で通りに飛び出したという。」
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確認作業は上手く行き、王冠には銀が混ざっていることが示されました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%B9#/media/File:Archimedes_water_balance.gif

「アルキメディアン・スクリュー」は生コンクリートなどの粘性流体や粉体などを搬送するコンベアー装置として今も活躍しています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%B9#/media/File:Archimedes-screw_one-screw-threads_with-ball_3D-view_animated_small.gif

また彼は球体の表面積や体積、放物線と直線で囲まれた面積の計算もしています。中でも「球体とこれを内接する円柱の表面積比と体積比は、いずれも2:3である」というのが自慢の発見だったようです。
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アルキメデスの墓は彼の希望にそって、球と円柱の形で造られたようで、これがその墓だ!という写真がネットで見つかりました。
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確かに古い墓のようですが、裏付け証拠に乏しく、ガセネタかも知れません。

またアルキメデスは『平面の釣合(つりあい)について』という本で「梃子(てこ)の原理」を解説し、「私に支点を与えよ。そうすれば地球を動かしてみせよう」と豪語して、この原理を端的に言い表したと言います。
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当時、アルキメデスが他の追随を許さぬ天才科学者だったのは間違いないようです。今回の話題からはそれますが、ギリシャのペロポネソス半島とクレタ島の間のアンティキセラ島近くの海底で見つかった天体運行を計算する歯車式機械「アンティキセラ機構(Antikythera Mechanism)」について2014年3月27日のブログでご紹介しました。
http://blog.livedoor.jp/mysteryhunter/archives/13963192.html
実物はアテネ国立考古学博物館に展示されています。
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この機構を誰が思いつき、誰が造ったのか?何の記録も残されていないので特定は出来ないのですが、2千年程前のものであること、高度な数学に基づいた天体軌道解析能力と、それをモデル化する卓越した機械工学の知識と技術を持ち合わせた人物しか製作できないものであること、から「アルキメデス以外には考えられない」との噂です。

今から17年前の1998年、ニューヨークで、1千年ほど前に製本された彼の学術記録のコピー本がオークションにかかりました。これを2百万ドル(2億円)で落札したのはIT産業に携わる匿名の富豪です。ひょっとするとアップルのスティーブ・ジョブズ氏かマイクロソフトのビル・ゲイツ氏かも知れませんが今も謎のままです。

その本は「アルキメデス・パリンプセストArchimedes Palimpsest」と呼ばれています。
当時、本は羊皮紙を使う事が多かったのですが、高価なので、古い本を解体し、インクを脱色し、その上に新しいインクで新しい内容を書き記して別の本に造り変えることが行われていました。こうして生まれ変わった本をパリンプセストと言います。閉じられていた本を解体してインクを脱色してから新たな本にする時、元の本の1頁のサイズを二つ折りして本にするので頁の大きさは元の本の半分になります。また新たな文字を書くときは、読みやすいよう、元の文字が書かれていた行と直交する方向に書きます。例えば次の本・・・
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左頁が次の見開きの2頁になります。
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赤く、薄いインクで書かれている日本語はインク脱色された元の文章で、黒い英文が新たに書かれた文章です。消された記述は肉眼では判別しがたいのですが、紫外線やX線等を使うと解読できることが多く、時には貴重な古文書が隠れていることもあるようです。

「アルキメデス・パリンプセストArchimedes Palimpsest」は、誰が、どこで、いつ、どのようにして見つけたのか?そこには何が書かれているのか?」

今回のブログは、それを紹介するYoutube: BBC「The Lost Book of Archimedes」です。
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紀元前3世紀、ギリシャ植民地のシシリー島シラクサSiracusaで生まれ育った天才アルキメデス。
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共和制ローマとカルタゴが戦った第二次ポエニ戦争の際、シシリー島に攻め入ったローマ軍兵士が、上司の命令でアルキメデスを連行しようとすると思案中だと拒否したので殺されてしまったという。67歳だった。
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しかし、彼の研究が記述されている本が見つかり、今も調査が進んでいる。2千2百年前に死んだ天才が残した、世界を変えたはずの書物だ。
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「アルキメデス・パリンプセストArchimedes Palimpsest」と呼ばれ、科学者たちは、そこに書かれたオリジナル記述の復活作業に取り組んでいる。
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痛みが激しい上に、オリジナルの文章が消去され、別の文章が上書きされているため、解読には困難が伴う。
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しかし、調査につれてアルキメデスの研究成果が明らかになっている。アルキメデスの発想は数百年、いや数千年も先行したものだったのだ!
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彼の本はオークションで落札された。購入者はIT産業で莫大な資産を造ったと言う事以外については自分の名や身分すら明らかにすることを拒否している。
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世界中の研究者はアルキメデスの本を自らの眼で見て、手に取って分析したいと望んでいる。Dr.ウィリアム・ノエルはその本の売買仲介者にEメールし、見せてもらえないかと頼んだ。
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「観るだけならいいだろうということで、その本を見せてもらった。その時は興奮で手が震えて仕方がなかった!」
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本は、アルキメデスのユニークな研究を伝える内容のものだった。
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彼の数学的な発見と、それをどんな発想で突き止めたのかが記録された本だ。
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本は信じられないような経過を経て、アメリカ・バルティモアの博物館に所蔵されることになった。物語は紀元前287年のイタリア、シシリー島に遡(さかのぼ)る。アルキメデスが生まれた年だ。
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彼の人生の多くはベールに包まれていて知られることは少ない。天才的な数学者、科学者だった。
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金の王冠が本物か調べるよう王から依頼された彼が、風呂に入る時にその方法に気付き、「エウリカ(Eureka:分かったぞ)!」と叫んで、服を着るのも忘れ、裸で外に飛び出して町を走り回ったという逸話は有名だ。

彼は機械の発明もしている。初めて円周率πを計算で求めた。宇宙を埋め尽くすのに必要な砂粒の計算もしている。その答えは10で、後ろには62個のゼロが続く!
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複雑な形状の体積や表面積の研究にも没頭していた。8つの三角形と4つの正方形でなる多角形体。12の正方形、8つの六角形、6の八角形からなる多角形体・・・
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彼の頭脳を恐れたローマ軍は、彼を捕えて殺さずに連行するよう兵士に指示した。
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しかし兵士は研究に没頭していたアルキメデスに「邪魔をするな」と言われて腹を立て、彼を殺してしまう。紀元前212年だった。
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彼の死は偉大なギリシャ数学の終焉を意味した。ヨーロッパは暗黒時代に突入し、数学や科学分野への関心は失せていく。

しかし彼の知識はコピーされ、世代をついで引き継がれていった。
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10世紀、最後のコピーの一つが造られた。
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しかし、以降、数学への関心は失せ、アルキメデスの記憶は忘れ去られていく。

12世紀のある日、ある僧侶がとんでもないことをしでかした。
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彼はアルキメデスの研究が書かれていた本を解体し、インクを薬品で消去し、各ページを2つ折りにしてから新たな文章をオリジナルの文章と交差する方向に書いていった。本はパリンプセストとして「讃美歌教本」に転用されてしまったのだ!
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中東のユダヤ教修道院・・・
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長い間、讃美歌教本は修道院の図書館に埋もれていたが、その間も世界は動き、世の中は変化を続けていた。
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15世紀にはルネッサンスがヨーロッパを席巻していた。
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芸術や文化が開花し、学者達はアルキメデスの研究内容を理解する知識を持ち合わせていた。しかし、1千5百年も前に生まれた人物の偉大なアイデアが、埋もれ、失われていることに気付く者はいなかった。もし、当時の数学者たちがアルキメデスの知識を知ったなら、数学は飛躍的な進歩を遂げたに違いない。
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彼の本が再び世の中に現れたのは更に数百年後だ。コンスタンティノープルの図書館に保管されていたのだ。どうしてそうなったのか、知る人は誰もいない。
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図書館のカタログに本の内容が数行で紹介されていた。それがアルキメデスの本かも知れないことにデンマーク人のヨハン・ルーズヴィー・ハイバーグ教授が気付いた。
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1906年、彼はコンスタンティノープルの図書館に戻り、実物をじっくり調べた。「どうも、アルキメデスに関するパリンプセストのようだ!」
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本の持ち出しは許されていなかった。そこで写真家に全てのページを撮影するよう頼んだ。
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その写真からアルキメデスの仕事を再現しようとしたのだ。それは信じられないほど困難な仕事だった。
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しかし、この本は間違いなくアルキメデスの研究のコピーだ!!!

ハイバーグ教授の発見はニューヨークタイムスのトップを飾り、世間に知られることになった。
「偉大な記述本がコンスタンティノープルで見つかった!」「アルキメデスの本で西暦900年頃にコピーされたもの」
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それは、まさに、アルキメデスがどんな問題をどのように解いていったのかを忠実に再現する「方法(メソッドMethod)」と呼ばれる貴重な本だった。
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アルキメデスは数学のマスターと言える。彼がどのような思考で問題を解いたのかは学者達にとって重大な関心事だった。実際の所、アルキメデスの問題へのアプローチは、数千年の間、誰もが行わなかったものだったのだ。

当時、円錐と円柱の体積を計算する方法は知られていた。そこで天秤を使って、球体の体積を求める方法を見つけたのだ。
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彼は頭の中で、球体を無限の数の薄い片にし、天秤を使うとどのように均衡を採ることが出来るかを計算し、天秤で試験して確認した。究極とも言える発見は、球体と、球体を内接する円柱の、体積比と表面積比はいずれも2:3だとの真理だ。
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この発見が彼にとっていかに大切なものだったのかは、彼の墓石が円柱と球から成っていることでもわかる。
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無限の断片にして体積を求めるアルキメデスの手法はカルキュラス(calculus微分積分学)と呼ばれ、近代数学の重要な分野を占めている。彼はそれを1千8百年も前に発見していたのだ!
現代の社会はカルキュラスなしでは成り立たない。
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それは数学や科学の発想の原点にもなっている。
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ハイバーグ教授はコンスタンティノープルで発見したアルキメデスの本の分析を進めていた。
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しかし、1914年に勃発した第一次世界大戦で、仕事は中断されてしまった。
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パリンプセストは再び失われ、どんな秘密が潜(ひそ)んでいたのか、誰も知ることは無かった。
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学者達は、アルキメデスの本を見ることはもう無いだろうと諦めていた。

1971年、古代エジプトの専門家ニゲル・ウィルソン博士がケンブリッジ大学の図書館で、たった1枚の紙に出会った。
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彼はその紙を詳細に調べた。そして、書かれているギリシャ語の専門用語などから、アルキメデスの記述だと気付いた。有名なパリンプセストから引き裂かれた1ページに違いない!しかし、なぜ、たった一枚のページだけがケンブリッジで見つかったのだろう?
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調べるとその1枚のページはコンスタンタイム・ティッシャンドルフという名の男から大学に寄贈されたものだったのだ。
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悪い噂のある、近づきがたい男だった。コンスタンティノープルにも、しょっちゅう旅行していた。その時に彼は図書館を訪れ、アルキメデスのパリンプセストを手にしたのだ!
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よく調べてみたいとの欲求にかられ、1ページだけ引き裂いて持ち帰ったのだ。彼がアルキメデスの知識に関心を持っていたとは思えない。しかし、重要なものだ、と直感したのだろう。
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昔と違い、ニゲル・ウィルソン博士は近代技術の恩恵を活用することができた。彼はケンブリッジの図書館で見つけた1ページを紫外線を使って調べてみた。
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ウィルソン博士は確信した。ハイバーグが写真に撮って解析しようとしたたがなかなか出来なかった解読は、現代の科学技術をもってすればかなりの範囲で可能だ!間違いない、アルキメデスの本だ!
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第一次世界大戦後のパリや他のヨーロッパの都市は、中東からの芸術作品で溢れかえっていた。しかしアルキメデスに関する新たな情報は何もなかった。
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1991年、フェリックスは、あるフランス人から「私はアルキメデス・パリンプセストを持っている」という手紙を受け取った。
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住所を見ると彼の住居の近くだったので早速その本を調べてみることにした。
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その時、所有者は奇妙な物語を語って聞かせた。1920年代、家族の一員でアマチュアの収集家がトルコに旅をした時、偶然、その本を見つけたというのだ。
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「売りに出したいのだが、いくらくらいで売れるだろうか?」

フェリックスは4-6千ポンド(150万円位)ではなかろうかと答えた。実際、このような特殊な本について競売の先例はなく、評価は難しかったのだ。

本はニューヨークのオークションにかけられた。
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結局、フェリックスの予測をはるかに上回る2億円で匿名の資産家が落札した。
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そしてバルティモアのウォルターズ・アート博物館Walters Art Museum in Baltimoreのキューレター(curator学芸員)ウィリアム・ノエルの手に渡ったのだ。
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「初めて観た時、こんなにボロボロな本がどうして重要なのか判らなかった。」
虫が食った跡や、糊や恐らく蝋燭の灯で読書中に落ちたと思われるワックスが付着したところもある、汚い本だった。
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ウィリアムは本を解読するため、ギリシャ語専門家、数学専門家、画像解析専門家、古書復元専門家から編成される研究チームを編成した。

本には妙な絵が描かれたページがあった。構図は中世のものだが塗料を調べると時代は異なるようだ。
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いつ頃、何のために描かれた絵だろう?1906年にコンスタンティノープルで本を写真に収めたハイバーグは、この絵について何も記録に残していない!
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研究チームは宗教画の専門家ジョン・ロゥデン博士に調べてもらうことにした。
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「私は似た絵を以前見たことがあると気付いた。」
調べると1982年、ある本が売りに出され、その中に問題の本に描かれた絵のミニチュア版が載っていた。とても似ていた!それらのミニチュアの絵はフランスの本に書かれていたものを真似たものだった。

これが1929年に発行されたフランスのオリジナル本だ。
「manuscript grecsギリシャ語写本」
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やっぱり、似た絵がある!
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このフランス本が発行された1929年、アルキメデスのパリンプセストの何ページかに、本の中の絵が転写された可能性がある!

バルティモアで、実物の絵とフランスで発行された本の絵を重ねてみると全ての絵で構図とサイズが一致した!
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何故そんなことをしたのだろう?考えられる一つの理由は本の価値を高めるためだ。アルキメデスの本だったことに気付かず、中世の讃美歌の本だと思った人物が絵を挿入したのだろう。

バルティモアの研究室では本の再生という繊細な作業が続いていた。本を閉じる中央部では縦に描かれたオリジナルの文を読み取ることは不可能だ。
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そこで、閉じていた部分で本を解体した。
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顕微鏡で拡大し、注意深く作業を進めていく。
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まず、汚れを取り除く。
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読書中に付着したと思われる燭台のロウを丁寧に取り除く。
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いよいよ解読作業が始められる段階になった。可視光線と紫外線の2つの光で各ページをコンピューターに取り込んでいく。
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これは白色光でみたものだ。縦に書かれているアルキメデスのテキストは判読困難だ。
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これを赤のイメージで見ると、縦書き文はほとんど見えなくなり、代わりに横書きされた讃美歌の文は明確になる。
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青のイメージで見ると、縦横両方の文が比較的はっきりと見えてくる。
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そこで、2つのイメージの像を組み合わせて画像処理すれば、アルキメデスのテキストだけが、赤く、以前よりも鮮明に浮き出てくる!これで判読は随分と楽になったはずだ。
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ギリシャ数学では記述だけでなくダイヤグラム(図やグラフ)が重視されていたことが判ってきた。
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専門知識が必要な解析作業はまだ続いているが新しい重要な発見もあった。
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アルキメデスは三角プリズムと円柱が共有する体積を算出していた!共有部の断面は三角形だ。
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その三角形の面積を無限(インフィニティinfinity)に重ね合わせれば共有部の体積を求めることが出来る。
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現代でも無限は数学者が頭を悩ませる分野だ。しかしアルキメデスは2千年以上前に、既に「無限」の概念を理解し、応用していたのだ。
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無限を語る時、人は宗教問題を取り扱っている気分になることすらある。宇宙はどこからやって来たのか?いつ生まれたのか?いつまで続くのか?どれだけ大きいのか?

もし、この本が1千年前に失われることがなければ世の中はどう変化していただろう。
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数学は技術、科学、物理の基礎となる学問だ。紀元前3世紀にアルキメデスによって書かれた本が、ルネッサンスで数学の進展を促していたら、今の世界はもっと進歩していたことだって十分考えられる。宇宙工学だってコンピューター工学だって、もっと進化していたはずだ。
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The Lost Book of Archimedes : Documentary on the Lost Manuscript of the Mathematical Genius
https://www.youtube.com/watch?v=nMfKrfG1aEI
(完)

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