Mysterious Questions In The World

世界のミステリーをご紹介します。

ジェイソンとアーゴノウツ の不思議

ウシュグリ村
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ジェイソンJasonとは何者か?
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そしてアーゴノウツ Argonautsとは?
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船は、何故、どこに、何を探して出航したのか?
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途中で出会った美女は何者か?
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王の娘のようだが・・・
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今回は、あるギリシャ神話にまつわる旅行記をご紹介しましょう。

神話の主人公ジェイソンJason(日本語Wiki;ギリシャ語発音に似せてイアーソン)はギリシャの小国テッサリアの王子でしたが、父王が死ぬと叔父が王位に就いてしまいます。ジェイソンが成人し、王位の返還を求めると「黒海の果てコルキスにあるという黄金の羊の毛皮(フリースfleece)を持ち帰ったら王位は返還する」との条件を出されました。そこへ行くにはボスポラス海峡を渡らねばなりません。ジェイソンはアーゴArgoという名の船を作り、アーゴノウツ Argonauts(日本語Wikiアルゴナウタイ)と呼ばれる、ヘラクレス(!)など50人の勇者と共に出航します。コルキスでは王の娘メディーアMedeaに一目惚れされました。彼女は魔法を操ることができ、結婚を条件にジェイソンに協力します。おかげでジェイソンは目的を達して生まれ故郷に帰るのですが、そこには悲劇が待ち受けていました。

という、とても長い話しで、Youtube映画は2時間を越えますが、ご関心がありましたら次のURLでお試しください。
Jason and the Argonauts FULL MOVIE
https://www.youtube.com/watch?v=hJo485wQLQo

で~今回のブログはっていうと、この神話の舞台になった「黒海の果てのコルキスという小国」を訪れ、その魅力を紹介する旅行記です。プレゼンテイターは以前「神秘の炎の不思議(15年4月)」「黒いファラオ(15年1月)」「シャングリラの不思議(15年1月)」で登場したオーストラリア人写真ジャーナリストのデービッド・アダムスDavid Adamsです。

それでは早速、旅行フィルムをご紹介しましょう。
・・・・・・・・・・・・・・
ここは西洋が東洋と出会う遊牧民の世界だ。多くの民族が暮らし、戦いを繰り返した山岳地帯で、トランスコケージア(Transcaucasia南コーカサス)と呼ばれる。
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ここに残る崩壊しつつある塔はアレキサンダー大王やモンゴルのハーン、ボアーズ・イルソン(?)をも打ち破ってきた。
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私は写真ジャーナリストのデービッド・アダムスだ。今、ジョージアにいる。
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過去に征服されたことが無い土地シェティだ。しかし、ここは伝説の舞台でもある。ジェイソンとアーゴノウツが黄金のフリースを求めてやって来た場所だ。
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Journeys to the ends of the Earth:地球の果てへの旅
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In search of Jason and the Argonauts:ジェイソンとアーゴノウツを追って!
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今、私はジョージア(注)の海岸沖を帆船で走行している。
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(注:ジョージア (Georgia又はジョルジャ)は日本語ではグルジアと呼ばれた国ですが、今はジョージアと呼ぶことになったらしいです。)

かつてはソビエト連邦の共和国だった。私は、これから、世界を最初に探検した男達の足跡を辿ろうとしている。
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2千5百年程前、ジェイソンとアーゴノウツが乗った船がここを通った。後ろに見えている灯台はリオニRioni川の河口に建てられている。
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黄金のフリースを求めてジェイソンたちが伝説の旅をした川だ。私はこれからその伝説の旅に隠されていたもの、もしジェイソンが今も生きていたなら見つけたものを探したいと考えている。

旅は黒海の東海岸からスタートする。そしてアーゴノウツが辿ったであろう神秘のルートを通ってコーカサスの奥深く入り、カスピ海に抜けるつもりだ。勿論、これは想像、つまり神話に基づく企画であることは当然だ。
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伝説によれば、ジェイソンは彼に与えられた挑戦に応えるためアーゴという名の船で出発した。もし地の果てに行きついて金のフリースを持ち帰れば王位を取り戻せるのだ。
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彼の足跡を辿るには私の足となるアーゴが必要だ。青天の霹靂と言おうかout of the blue、それは市場で見つかった!
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これまで見たことが無い型だ。青くて、輝いていて、ロシア製で。しかし、売りに出ているのかしら?

「これ売り物?」「ロシアのバイク?」見て分かるようにジョージアの言語は私には分からない。「何年ぐらいのもの?10年くらい前?」会話はいつまでも埒が明かない。しかし突然、予想もしていなかった守護天使の女性が現れた。

「お手伝いしましょうか?May I help you?」
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「このバイク、売りに出ているってのは判ったけど、彼が何んて言ってるのかわからないんだ!」
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古さも、走行距離も、状態も好さそうだ。で~値段は?2千ジョージアン・ラリlari(12万円)だという。
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「動くかなあ?」今のところ、なかなか良さそうな感じだ。しかしエンジンがかからない!彼がトライすればするほど興味は薄れていく。
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「私がトライできるかな?私の方がバイクに慣れていそうだし・・・」
オーストラリアの林の中で古いトレイル(オフ・ロード用バイク)のエンジンをかけて以降はバイクに乗ったことがないのだが・・・

誰よりも私が一番驚いたのだが、一発でかかった!
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周りの人は妙な表情でこちらを見ている。私が知らない何かを知っているのかも知れない。
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しかし、このバイクに賭け、買うことにした。
そうなると、今度はガイドが必要だ。ひょっとすると、彼女が・・・

彼女ミーイアは他のジョージア人と同じように黄金のフリースの伝説に詳しかった。
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「で~ジェイソンと仲間はここに来たのかな?」
「そうよ。彼等は帆船でリオニ川をさかのぼったの。今は障害物も沢山あるから、そんなに奥までは船では行けないけど。」
「山では金が採れるって聞いてるけど本当?」
「スヴァネティSvanetiのことね?」
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で~ミーイアは私と一緒に旅してくれるのかな?
「今忙しいの。帰ってチェックしてから連絡するわ。」
「OK。でも私が運転するバイクに乗る勇気が必要だってのは覚えていてね。」

説得が功を奏したようで、バイクと、ロシア兵士のヘルメットで、我々は北に向かうことになった!
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「大丈夫?地図がないけど。」
「大丈夫よ。私、道、よく知ってるから。」
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直ぐに判ったけれど、古い型式のバイクをたくさん見かける!ジョージアは夏。緑が多く、木々が並ぶ道の景色はヨーロッパと全く同じだ。小アジア(Asian Minor)にいるとは思えない。コーカサスと言う名はかなり広い地域を指す。ジョージアという名はアラビア語のジャージー(オオカミの土地)が崩れて出来た新しい名だ。
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少し走るとリオニ川に出た。2千5百年前にアーゴノウツが通った川だ。
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ここはクテイジィKutaisi。昔のコーカサスの首都だ。
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クテイジィには大きな建物が多い。大抵はソビエト連邦時代に造られた。見えているのは、ロシアの将軍や共産党員が使っていた温泉というよりも娯楽の殿堂だ。
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特別な処方をしてくれる。拷問(ごうもん)台のような施設があった。特殊なハーネス(装着ベルト)で体全体を延ばすのだ。
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私が体を伸ばしている時、彼女の方はもっと拷問に近いマッサージを受けていた。昔から言われるように「痛み無くして得るもの無しno pain no gain」だ。
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この温泉施設は共産党の上層部や将軍たちが使っていた。最初に入ったのは最も有名な客だ。就任を祝って招待された、悪名高いジョージア人ジョセフ・スターリンだ。1930年代から1940年代に渡って大勢の人を投獄し、数百万人が殺された事件の責任者だったモンスターだ。彼はここで、閣僚や将軍たちと悪だくみを議論した。
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議論しなかったのはスターリンの欠点だ。
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湯を出ると川に飛び込んだ。水の量は今ではアーゴが通るのには不十分だが。
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明日は黄金のフリースを求めて旅したジェイソンの足跡を辿ってスヴァネティに向けて出発する。
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クテイジィはジョージアで二番目に大きな町だ。
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ジェイソンとアーゴノウツの伝説によれば、黄金のフリースを見つけたのはここクテイジィだ。
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私は黒海からトランズコケージア(南コーカサス)の高地までジェイソンの足跡を辿っている。
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黄金のフリースはどうもこの辺りに隠されていた。この公園の樹木の枝に掛けられていたのかも知れない!
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毛皮を手に帰ろうとすると、コルキス王から新しい2つの条件が出された。まず、火を吐く2匹の牡牛を倒し鋤のハーネスを付けること、次には大蛇に打ち勝つことだ。
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ジェイソンはこの条件を果たし、フリースを手に入れる。
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すると王の娘メディーアは結婚を申し込んだ。
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これらは神話だ。しかし、いくつかの現実も含まれているはずだ。それを探して、更に山奥の危険な地域を目指して進む。
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高地を目指して進んでいくとチェック・ポイントがあった。国連の平和維持軍が監視している。ここではロシア兵が警備に当たっていた。
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何世紀もの間、トランスコケージア(南コーカサス)に暮らす民族同志で戦いが行われている。
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我々は、紛争の中にある村スヴァネティで暮らすファーン族の、ある人物に会いに行くところだ。
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「ファーンっていうのは小さな民族集団で、山で暮らしているけど、いつスヴァネティに来たのかは誰も知らないの。」
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登るにつれ、危険が高まっているようだ。監視している警官の脇を通って進んでいく。
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1週間前、旅行者がこの道で誘拐された。ギリシャからコーカサスに来るには別のルートもあるという。
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「道の脇にある祠(shrine)は何?」
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「交通事故などで死んだ人の祠よ。」
ここの祠は独特だ。中にウォッカが置かれている!
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「これを飲んで、亡くなった人を偲ぶのよ。」
「もし、祠、祠、祠、って続いていたら、飲んで、飲んで、飲んでってことで、ひょっとすると崖から落ちちゃうかもね。」

ジョージアでは飲酒は広く嗜(たしな)まれている。生きている我々としては死者に乾杯しなければならない。「誰だか名前を知らない人に“乾杯to remember!”」
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「しかし、こんなに強いお酒なら誰だって慣れるってことはなさそうだな。運転、おぼつかなくなるかも。」
「大丈夫?」
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山岳地帯に入った。いくつかの峰は5千5百m以上の高さだ。
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スヴァネティに着いた。2千年の間、他の町から孤立していた所だ。
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この農村は民族舞踊で有名だ。
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まず中世の王女の物語を歌いながら女性が踊る。
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そして中世の服を着た若者が踊る。
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かなり昔から続いていて、2千年前、偉大な地理学者ストラボゥも旅行記に記しているくらいだ。
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ここでは戦(いくさ)も続いていた。民族内で行われたものがほとんどだという。略奪と仕返しが繰り返されていたのだ。
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「墓石に死者の顔が彫られている。信じられない光景だ。」
「これがスヴァネティの伝統なの。」
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多くは若者だ。
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「内紛の原因は?」
「女性だったり、資産だったり、土地だったり。去年も殺し合いがあったわ。」
「シシリー島みたいだね。」

身近なもの同志の争いから身を守るため、多くの塔が建てられることになった。
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しかし、今はほとんどが使われていない。
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「みんな、いつもここで暮らしていたの?」
「いつもじゃあないわ。いざこざがあった時だけよ。」
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この塔は数千年前のものだという。梯子を取り払っておけば、籠城戦ができる。
1階は家畜、2階が食糧、3階は住空間・・・
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最も重要な空間は最上階だ。
「で、ここでいつも時間を過ごしていたの?」
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「そうよ、安心できたの。敵が攻めてくると直ぐに見えたし。」
「それに下にいる敵を攻撃しやすい。」
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紀元前1世紀にこの地を訪れた地理学者ストラボゥが書き記していたことが、もうひとつあった。
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住民は羊のフリースを使って川で黄金を採っていたという。ジェイソンの伝説が生まれた場所に違いない!

明日はさらにコーカサスの山に踏み入っていく予定だ。野生の男達が悪魔の様に馬を駆り、伝説の黄金が一杯の川が流れる所に。
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ここは世界でも有名な分水嶺の一つだ。コーカサス山脈の北ではヨーロッパに、南では小アジアに向けて川は流れる。
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何世紀もの間、トランスコケージア人は渓流で金を採取していたという。

スヴァネティを去ってコーカサス山脈に沿って東へ進んでいく前に、古代のギリシャ神話に関連して是非、見つけておかなければないものがあった。
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ラリ村はコーカサス山脈の高地にある。ミーイアが私をここに連れて来たのは、ここにはスヴァネティの伝統的な金採取人(gold miner)がいるからだと言う。
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「昔、ここでは大勢の人が金を採って暮らしていたの。」
「それってジェイソンと関係あるのかなぁ?」
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「勿論よ。今だって昔のようにフリースを使って金を採ってるのよ。」
ラリ村を訪れる人は少ないようだ。小さな村で住民はみんな知り合いだ。我々が探しているのはギアという男だ。
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ギアはこの地の羊飼いsheperdだ。しかし、長年、金探しをしている。
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今も、手が空いた時間は、近くの川に出かけていく。
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金は今でも採れる。それは直ぐに判った!
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皿を使うのは近代の方法だが、伝統的な方法ではフリースを使う。
まず木の流しの一番下側に羊の皮フリースを装着する。
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流れの速い所に流しをセットし、そこにシャベルで掬(すく)った土砂を流す。
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すると重い金はフリースに残るのだ。
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フリースの中から金を探すのには熟練が必要なようだ。ギアは慌てず・・・金を見つけ出した!
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彼は祖父からこの方法を教えてもらい、今も生活に十分な収入を金で得ているという。

ここはジェイソンの伝説の旅の始まりでしかない。何故なら、彼は、王位を取り戻すために、黄金のフリースをここから西のギリシャまで持ち帰らなければならなかったのだから。
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しかし、神話の別のバージョンによれば、アーゴノウツは西には戻らなかった!彼等は東へ、カスピ海へ向かったという。
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私も彼等を追って東に向かう。
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神話の作者はこの辺りの地勢を理解していなかったに違いない。山が多く、川は南北に流れ、東西に流れるものは少ない。。
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黒海から船でここまで来ることは不可能だ。神話の作者はこの事実を無視して楽しい物語を作ることにしたのだろう
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コーカサス山脈から少し離れたシェティという土地に入るためには馬が必要だ。
「この辺りには夏じゃあないと来れないだろうね。冬は雪で覆われているだろうから。」
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再び塔が現れた!これらの塔は以前に見た塔と目的が違う。
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15世紀に造られた狼煙(のろし)台で、敵の侵入を知らせるためのものだ。敵はチェチェンだ。山岳が国境でチェチェン(共和国)はその向うだ。
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最後に塔が使われたのは1926年の戦いの時だったと言う。

マルティシャ渓谷の住民に出会った。レバンと彼の父は、夏になると羊たちを引き連れて高地の牧草地に移動する。
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「レバン。馬に乗る時はいつもサドルを付けるの?」
「遠出の時はつけるけど、普通はサドル無しだ。」
「アメリカン・インディアンみたいだね。」
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レバンは、この辺りの人と同様に優れた騎手だ。

良い騎手かどうかは生死の問題だった。何世紀もの間、シェティの男は馬にのってチェチェンと戦ってきたのだ。今は平和目的で馬に乗る。数日後には世界でも最も野性的な馬のレースがある。
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レバンの家を訪れた。
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シェティの伝統的な肉団子ハメイニを造っている。今晩のディナーに招待された。
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ジョージアの夕食にアルコールは欠かせない。
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乾杯は短時間に何度も行われる。
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歓迎の乾杯が終わると誰もが直ぐに馬の話を始めだした。
「どうして上手な騎手になれたの?」
「生まれたのが馬の上だったからじゃあないかなぁ。」
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争いが多かったからシェティの男は馬に乗ることが重要だったのだ。

グラスをぶつけ合って、また乾杯だ、ジョージアの上等なワインで!乾杯を逃げることは出来ない。その上、いつだってグラスの底まで飲み尽くさなければならない。
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でもへべれけになっては駄目だ。飲んだ後、かならずダンスがある!

ジョージアのダンスでは、男性がリードする。その後に女性の番だ。ミーイアについて知らない事があったようだ、彼女は美しい踊り子だった。
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翌日、レバンが、少しグロテスクなシェティの習慣を見せてくれることになり、村から離れた谷の上にやってきた。そこにはDIYの墓場がある。
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墓穴を掘ることも、教会も不要だ。ここにきて岩の穴に入って横たわって死ねばいい。
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今ある遺骨は3世紀程前のものらしい。
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昔は各戸にこのような墓があったという。遺体を持ってくるのではなくて、不治の病だと思った時、ここに来て横たわるのだ。子供が病気で助からないと思ったら、母親は揺り籠に入れて運び、子供を置いていったという。
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死はコーカサスではいつも継続的にやってくる現実だ。(mh:コーカサスだけではありませんよ、デービッドさん。)
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その夜もみんなで集まって夕食を楽しんだ。アコーディオンに合わせて歌が始まる。
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悲しみの歌を聞きいている時・・・
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塔の上では炎が立ち上っていた。
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敵が攻撃してきたのではなく、優れた騎手たちに集合を知らせる合図だ。明日はレースがある。厳しいコースの、長い距離のレースで、私も参加する予定だ。
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ジョージア共和国では、1年に一度、コーカサス山脈の高地に暮らすシェティの人々が人里離れた谷間まで下りてきてレースをする。世界でも最も厳しいコースでのレースだ。
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谷の精を祀る小さな祠で祈りを捧げる。朝8時、ウォッカを神に捧げ、勿論、みんなで乾杯もする。
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ウォッカだけでは心もとないから、蝋燭に火をつけて勝利を祈願する。
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もう11時になった!ウォッカでみんな勢いづいてきた頃合いだ。いよいよレースの時だ。ジェイソンと関係があるのか、レースの賞品はフリースだ!
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スタートラインに向かう。サドルを付けるかどうかは乗り手の好みだ。距離は8Km。かなり乱暴なレースだ!
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レースが始まると、雨が降り始めた。
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特に過酷なレースでは悪い条件だ。
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ゴールライン当たりでは観客もやってきて大混乱になる。
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時には喧嘩になる。で~勝利者は?それは喧嘩の結果で決まりそうだ。
この少年の父親は自分の息子が勝利者だと言う。
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私は、というとサドル付きの馬に乗ったのだが、手綱(たづな)が切れてしまい、完走することはできなかった。
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雨が降っていたが、ワインをとことん飲んで、ダンスして、馬の話をして一日を過ごす。
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夕暮れが近づくと、人々は馬に乗って自分の家に向け長い道のりを帰っていく。
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間違いなく何人かは酔っ払ったまま帰途に就くのだ。
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残念だが、そろそろお別れの時だ。ミーイアは仕事で町に戻らなければならない。私はジェイソンの足跡を辿って東に向かう。我々はジョージアの首都トゥビリシTbilisiに向かった。ミーイアが暮らす町だ。
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城と、大きな通りboulevardと、オーソドック・チャーチ(Orthodox Church正教会)の町で、1千4百年間、ジョージアの首都だ。
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しかし、盛衰の激しい都市でもある。
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私が以前、若いジャーナリストとしてスクープ取材のために来た建物がある。国会議事堂だ。
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初めてジョージアに来たのは10年前で、まさにこの場所だった。
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近世のジョージアの歴史で最も重要な瞬間だった。新大統領コーディアが、傾きかけていたソビエト帝国からの独立を宣言した時だ。
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「興奮の瞬間だ!」
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「ジョージアは再び、独立した共和国に戻るのだ!」
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しかし、独立の喜びは束(つか)の間だった。8か月後には内戦の嵐が吹き荒れた。
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8年後、ジョージアは貧しいながらも安定と独立を成し遂げた。

私は、ジョージアを離れて東のカスピ海に向かう。ミーイアは自分がバイクを運転するという条件で、私を見送ることに同意した。
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アゼルバイジャンとの国境に着いた。同行者とガイドにお別れする時だ。
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ミーイアは普段の生活に戻る。私は東に向けて旅を続ける。

「バス停が近くにあるから大丈夫よ。」
「大丈夫?ありがとう!楽しかったよ。無事に帰ってね。」
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別れは辛いが、私は旅を続けねばならない。
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これから辿るのは最も古い道、シルクロードだ。ジェイソンとアーゴノウツの最終章だ。
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1日5回、この僧は伝統的なコールを行う。
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アゼルバイジャンの町シェキのモスク。彼が呼びかける時、スピーカーなどの電気機器は一切使わない。

「アッラーフ・アクバル(アッラーは偉大なり)」
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町中に響き届きそうな見事なアザーンだ。
ここはトランスコケージア(南コーカサス)の小アジアだ。
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キリスト教国のジョージアに比べれば、イスラム教国のアゼルバイジャン人は遊牧民ではないのかも知れない。
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私は今、ジェイソンとアーゴノウツの霊の導きに従って、黒海からカスピ海への旅の最終段階に入った所だ。アゼルバイジャンでは、ジョージアと異なり、緑の大地は少ない。アーゴノウツが船で川を下るのは難しいだろう。ほとんどの川で水は少ない。
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不思議な庵があってそこに暮らす隠者が旅人の安全を祈念してくれるというので訪れてみた。
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言語、国籍、宗教がなんであれ、昔から、誰でも祝福してくれるらしい。
「私は旅人で、旅をしてここまで来て、これから・・・」
私が何を話しているか判っているかどうか知らないが、彼は私を祝福してくれることになった。
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彼のメッセージは単純だ。「どんな宗教を信じているかではなく、神と信念という2つを心の中に持っているかどうかが重要だ。心の中に神を持っていれば、その人は善人だ。」(mh:神を持ってない人は悪人だとは言ってないようですのでホッとしました。)
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「アーメン!」
これなら聞いたことがある。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教に共通の言葉だ。
(Wiki「アーメン」:ヘブライ語で、「本当に」「まことにそうです」「然り」「そうありますように」の意。アブラハムの宗教(旧約聖書を経典とする宗教)で使われる用語)

隠者は石で、私の額を撫ぜ、背中を軽く2回叩いた。
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そして顔に水をふりかけてから小さなプレゼントをくれた。プラスチックのラップで包んだ石のお守りだ。

これから道を下ってバクーBakuに向かう。下るというのは、文字通り下がって行くことだ!カスピ海に近づく程、海面よりも低くなる!カスピ海面の標高は海面下27メートルだ。
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その海岸に石油大国アゼルバイジャンの首都バクーがある。
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この辺りは数千年の間、石油で知られている。
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絹が交易されていたように、石油もシルクロードを伝って交易されている。ランプの灯、燃料、アノインティング(注)の炎として。イエス・キリストのアノイント(注)はここから来た油だと言う。
(注:アノイントanoint;礼拝で油を体に塗ること、その油)

アゼルバイジャンの町はイランの町の雰囲気がある。
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しかしバクーの通りを歩いてみると、全く違うことが判る。イスラムの国とは思えない大胆さだ。
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西洋のデカダンスとは異なるイスラムのデカダンスがここにある。ベリーダンスはかつてカリフやサルタンやハーンやボアーズ・イルソン(?)を楽しませたが、今はバクーに暮らすマフィアの暴力団員を楽しませている。
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マフィアを引き付けたのは石油だ。オイル事業にはマフィア・シンジケートの陰が見え隠れしているという。

しかし「オイル漏れ(oil-leak?)」はマフィアよりも質(たち)が悪いものを隠している。毒蛇だ。噛まれたら即死する毒だが、ここでは毒以外の利用価値がある。心臓病の薬になるのだ。外科手術にも使われるらしい。
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この人は何年も蛇を捕まえる仕事をしている。使うのは特別にあつらえた鉄の棒とトングとバッグだ。危なくて近くで撮影できない!
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研究室に持ち込んで毒を抜き取る。1grで2万円というから黄金より価値がある。ジェイスンが大蛇と格闘したことを思い出した。
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しかし、正直に言うとゴーベスタンの岩山に行ってみるまで、ジェイソンのことは忘れていたのだ。
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辺りには数千年前から人が住んでいた証(あかし)の岩絵が残っている。
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古代の羊があった!
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さらに驚くことに、船の絵もある!
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これが神話を作るインスピレーションになったのだろうか?もしかするとジェイソンもここに来たかも知れない。

私は旅に戻る。私のアーゴで船出しようとしている。
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もしジェイソンが今も生きていたとしたら、どこに行くだろうか?どんな男になっているだろうか?
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多分、石油王になっているだろう、黒い黄金「石油」をカスピ海で見つけて!
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経済を牽引している石油は、今も神話を輝かせている。真実は神話ほどロマンチックではない。しかし、ジェイソンとアーグノウツの神話の陰には真実もあるに違いない。それはきっと航海と発見の物語だ。東に長い旅をして物語を持ち帰った勇敢な男たちの物語だ。
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Journeys to the Ends of the Earth - In Search of Jason and the Argonauts
https://vimeo.com/144932851

(完)
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