Mysterious Questions In The World

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mh徒然草107:TPPには無理がある?


今日は8月15日。アメリカ大統領選挙の立候補者クリントン女史がTPP(環太平洋連携協定Trans-Pacific Partnership)反対を表明したと聞いて、あらまぁ、どうして、って思ったのは私だけではないでしょう。ネット記事によれば次の通りです。

見出し:クリントン氏、「当選してもTPPに反対」明言
2016年08月12日
「米大統領選民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官(68)は11日、中西部ミシガン州で経済政策をテーマに演説し、環太平洋経済連携協定(TPP)について「選挙後も反対し、大統領としても反対する」と述べた。クリントン氏が当選後もTPPに反対すると明言したのは初めて。同じくTPP反対を掲げる共和党候補のドナルド・トランプ氏(70)から、当選後は推進に転じると批判されていることを意識したものだ。クリントン氏は「雇用減少と賃金低下を招く貿易協定は、TPPを含め、いかなるものでも阻止する」と強調した。」

別の記事で確認した条約発効の条件は次の通りです。
「日本やアメリカなど12か国が参加したTPP協定の署名式が行われた2016年2月4日から2年以内に、12の国すべてが議会の承認など国内手続きを終えるか、12か国のGDP=国内総生産の85%以上を占める少なくとも6か国が手続きを終えれば、その時点から60日後に協定が発効する。日本のGDPが17.7%、アメリカが60.4%なので、この2国だけで加盟国の全体の78%に達するため、日本とアメリカのほかにGDPが比較的大きな4か国が手続きを終えれば、TPPは2018年の4月に発効することになる。」
http://www3.nhk.or.jp/news/imasaratpp/article15.html

アメリカではTPPは、まだ国内承認されていませんから、次期アメリカ大統領がTPP反対となれば、発効条件は未達となり、TPP構想は消滅します。仮に日本が反対し、アメリカを含む11カ国が賛成すると、11カ国のGDP合計が85%に達する可能性がありますから発効する可能性はあるわけです。

アメリカ大統領選の立候補者2人がTPP反対ですから、TPPはアメリカでは承認されず、既に死に体になったと思いますが、大統領選挙中の発言は時には翻されるといいますから、ヒラリー女史またはトランプ氏のいずれが大統領になろうとも、アメリカがTPPを承認する可能性はゼロではありません。仮にTPPに前向きになったとしても、アメリカに有利な修正案を提示してきて、日本や他のTPP加盟国は翻弄され、TPPそのものが仕切り直しになるとすれば、参加各国はアメリカに対する不信感からTPPを離脱するのではないでしょうか。

TPP交渉については、日本の農業問題があって、アメリカに有利なものだとばかり思っていましたが、次期アメリカ大統領候補が2人とも反対ということは、少なくとも現時点で、2人ともアメリカにとって不利だと考えているわけです。世界の製薬の先端を行くアメリカの製薬業界は、新規開発薬の利益独占期間が不十分だとして反対で、アメリカの自動車会社は日本の自動車業界の影響力が弱まらないので失業者が今後も増えるから反対だと言っていて、大統領候補もこの声に同調してTPP反対を唱えているのです。強い産業は利益確保が不十分だから反対で、弱い産業は保護が不十分だから反対、というのは随分と身勝手な主張だと思いますが、この風潮は日本も同じで自動車業界はTPP賛成、農業関係者はTPP反対です。

クリントン女史はTPPを推進しているオバマ大統領と同じ民主党の上院議員ですから、今更TPPに反対なんて、なんて節操のない人なんだろうと思いますが、TPPが悩ましい問題であることは間違いありません。つまり日本で考えれば、自動車業界は利益増かもしれませんが、農業は衰退が加速し、食糧自給率は減少し、もし異常気象で世界の食糧生産が落ちれば、食生活は大打撃を受けかねないのです。

私は個人的には、関税は撤廃し、自由化すべきだと思います。しかし、それは理屈であって、今日から、全ての品目について関税撤廃すべきだと言っている訳ではありません。各国の事情を配慮し、産業別に、少しずつ、状況に合わせ、弱い者にも強くなるチャンスを与えながら、税率縮小を進めるべきだと思います。今のTPPは、状況を見ながら税率を見直すシステムが欠けているように思われますので、発効しても、いずれ破綻(はたん)するでしょう。

関税を設けて自国の産業を保護するのは一時的な避難でしかありません。関税をゼロにしても自立できる国が理想なのは間違いありません。しかし、どの産業の関税を、いつ、どのくらい低減し、いつゼロにするかを議論するには、その産業を将来、どうもっていくかを決めてから行うのが筋でしょう。例えば日本の農業、具体的にはコメや肉類、をどうするかを決めてからTPP交渉に臨(のぞ)むべきです。

しかし・・・この考えに基づけば、TPP交渉に臨むこと自体に無理があると言わざるを得ません。何故なら、コメや肉類の将来をどうするかなんてことは、独裁者でもなければ、決めることなんてできないからです。日本のコメや肉類の生産がゼロになってもいい、って覚悟するなら別ですが、食糧に関する安全保障上の問題が残ります。

次期アメリカ大統領候補は2人とも私が嫌いなタイプですが、TPPに反対する姿勢は正しいと思います。長期的な関税低減率を今、決めるのではなく、状況に合わせて低減していく方式でないと上手く機能しないと思います。

Fly Me To The Moon - Brenda Lee
https://www.youtube.com/watch?v=b-iqj5ZpRAY

(完)
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