Mysterious Questions In The World

世界のミステリーをご紹介します。

mh徒然草109:青森県の地元就職リーフレット


(特番の都合で公開日をずらしました。)

今日は8月19日。Rio五輪も終盤です。レスリング53Kg級で吉田志保理選手は接戦の末、惜しくも金メダルを逃しました。試合後のインタビューで涙ぐみながら“金をとれずにごめんなさい!”と謝っていましたが、よく頑張ったと思いますよ。レスリング58Kg級では川井梨紗子選手がオリンピック初出場で見事に金メダルを取りました。吉田選手はこの10月には34歳。優勝した川井選手は11月で22歳。スポーツ界での世代交代は摂理であり、いつかはこのような結果になるのは定めでしょう。

時の流れと共に人は老い、死んでいきますが、その一方で新しく生まれる命があり、社会は繋がっていきます。ならば、新しい命が少なく、若者の流出が多い地方は、人口が減少し、過疎化し、高齢化していくから繋がらなくなるのか?そうじゃあないと思います。在り方を見直せば済むことだと思います。

そうは言っても、地方を活性化しようと考えたら、まずは、人口を、特に若い人の比率を増やしたいと考えるのは人情というものでしょう。mhは見なかったのですが、数日前、TVのワイドショーで取り上げられ、恐らく酷評だった青森県のリーフレットをご紹介しましょう。

まずは、それを採り上げたネットニュースです。
“31歳で貯蓄933万円?マイホーム? 青森県想定「現実離れ」”
河北新報 8月14日(日)
“31歳、子ども2人の世帯貯蓄は933万円。頭金なしで2722万円のマイホームも買える。高校3年生に地元就職を勧める青森県のリーフレットに、こんなシミュレーションが載っている。「現実の県民生活からは程遠いプランなのでは」との疑問の声に、県は「あくまでモデル。個々の人生は当然異なる」と釈明している。
「なるほど地元就職」と題したリーフレットは、A3判二つ折り。6000部を作製し、就職説明会などで配布している。高校卒業後に青森、東京でそれぞれ就職し、結婚後も共働きする二通りの人生を紹介。青森の方が経済的にゆとりがあると訴える内容だ。
県内在住のファイナンシャルプランナーが監修したシミュレーションは表の通り。国の2015年家計調査では、青森市の勤労者世帯の貯蓄額は503万円。だが、プランでは31歳で1.9倍近くたまる計画だ。年収と不動産価格は国の公表データを基にしたが、結婚後も実家暮らしを続けたり、2722万円の一戸建て住宅を頭金なし、年間約100万円を返済する35年ローンで購入するなど、都合のいい設定も目立つ。
若者の雇用に詳しい弘前大の李永俊教授(労働経済学)は「東京への過度な憧れに警鐘を鳴らす意義はあるが、貯蓄額などに無理がある。もっと現実的な計画を紹介した方が良かった」と指摘する。県労政・能力開発課は「専門家がちゃんと監修したものだが、結果として、東京との比較を際立たせすぎた面があるかもしれない」と説明している。”

この話題は、特に青森県在住者、青森県出身者の関心を引いたようです。mhがネットで見た範囲では「税金を使って、信頼性が少ないデータで、自分勝手な仮定の下に、手前味噌の結論を導き、それを見た人をあきれさせた」という感想が多いようです。「お役所はいつもこれだ」と冷たい意見が多いようですが、「いいこともしているよ」とお役所を弁護する人も、少ないのですが、いました。

「いいこともしているよ」と弁護した人は青森在住の30代の主婦で、パソコンを使うサービス業をしていますが、リーフレットの内容には批判的で、“地域の魅力、課題を語ってほしかった”と結んでいました。

で~就職説明会で配布されたリーフレットは次です。
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(折込面)
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高校を卒業し、青森で就職した場合と東京で就職した場合の年収や貯蓄、住居がどうなるかを対比したもので、次のようなコメントが添えられているようです。(リーフレットの字が確認できませんので他の記事から流用します。)
(地元就職なら)
*東京より通勤時間が約30分も短いうえ、朝夕の通勤ラッシュもほとんどなく快適!
*東京に比べて1日に約30分もの自由時間を持てるなんて最高!
*実家暮らしは経済的余裕ができる時期。夢も貯蓄もふくらむね!(24歳で結婚して2子が生まれても31歳まで実家暮らし)
*青森はマイホームを手に入れやすく、空間的にもゆとりある生活を送ることができる(3500万円2階建て一軒家購入)
*住宅ローンが終わり、人生の大半を費やした仕事も一段落。セカンドライフを満喫するぞ!
(東京就職なら)
*妻のためにちょっと広めの物件に引っ越し。広い分、家賃もその分高くなる。
*持ち家は諦めマンションを購入。人生最大のお買い物。(6685万円のマンション購入)
*都心から少し離れたマンションを購入。各部屋もそんなに広くない。
*住宅ローンは終わったけれど、毎月の管理費や駐車場代などの維持費がこの先もまだ続く(65歳定年退職時)

確かに・・・ネガティブ・キャンペーンのようでスッキリしませんね!このリーフレットを見て、地元の青森で就職したいと思う人は少ないと思いますね、特に夢多く、青雲の志を持つ若者なら。

総務省の人口増減率ランキングは次の通りです。
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秋田、青森の両県は人口減少が最も激しく、年1%で県民数は減っています。

青森県で安定している仕事といえば自治体公務員か教員でしょうか。
全国自治体別・公務員年収のランキングが見つかりました。500位まで平均年収が高い順に並んでいます。
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で~下位6県は次の通りです。
42位(652万円):長野県、青森県、岐阜県
45位(645):北海道、
46位(643):沖縄県、
47位(619):鳥取県
青森県職員は東京都職員よりも年収が15%低いようです。
秋田県は29位ですが668万円で、青森県と大差はありません。

教員については次のデータが見つかりました。
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人口減少率が高い青森県、秋田県の教員給与は全国平均というところでしょう。

多くの教員は大卒だと思いますので、もし大卒で、青森県に実家があり、教員になりたい人なら青森県の小中高校に就職するのも悪い選択ではないでしょう。しかし、高卒なら教員資格はありません。

ならば青森県庁に就職して公務員になろうと思っても、恐らく、高卒は大卒と比べて昇格が遅いでしょうから、仕事としての魅力は小さく、自宅から通えるメリット(若者には親の目が付いて回るということでデメリットかも知れません)はあっても、採用枠が小さいでしょうから、求職倍率は高く、高根の花かも知れません。

青森県の高校を卒業して就職を希望する若者は、教員にはなれず、公務員も採用枠が小さいので希望は少なく、結局、事務員か工員として企業に就職することになるわけですが、とすれば、県内に就職したい企業がどの程度あるかが最大の問題です。

更には、子供の養育・教育で地方自治体がどんな支援をしてくれるのかも重要な要素かも知れません。利根川を挟んで銚子市と神栖市がありますが、自治体から子供への支援で大差があって、それを理由に住居を川向うに移す若い夫婦が多いという話を聞いた記憶があります。

通勤時間やマイホームの取得難易度が就職を決めるというなら、青森県出身者に、青森で就職する方が得だよ、などといちいち教える必要はないでしょう。県外に就職する人が多くて困っているということは、通勤時間やマイホームだけが就職先を決定する条件ではない証で、それは、至極、まっとうな考えだと思います。青森県は、もっと夢のある就職環境を準備すべきでしょう。それをせずに、通勤時間とマイホームしか話さないとしたら、これからの人生に夢や希望を持っている若者を引き付けることは出来ません。

青森県や秋田県の人口は急速に減少し、高齢化は急速に進んでいます。それを止めるには発想の大転換が必要です。他と比べて就職枠が少なく、興味のある仕事の選択肢が少なく、文化的な施設や刺激が少ない青森や秋田で暮らしたいと考える若い人は少ないのは当然で、その若者の気持ちを変えなければならないんですから、生半可な発想では叶(かな)わないでしょう。

人口が減少し高齢化が進むことは確実な未来だと受けとめ、その中で県民が充実した暮しができる施策に注力することが大切だと思います。高齢者が暮らしやすい青森県なら、いずれ高齢になる若者も青森県に住みたいと思うかも知れません。そんなことは、とうの昔からやっているよ、って関係者は言われるかと思います。とすれば、今回のリーフレットに限れば、やらない方がよかった小手先対応だったと言えるでしょう。

Rainy Days Mondays Carpenters lyrics
https://www.youtube.com/watch?v=DdMnJt97Rx8

(完)
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