Mysterious Questions In The World

世界のミステリーをご紹介します。

最初の花の不思議


最初の花?
英語でThe First Flowerですから・・・

地球というこの惑星で最初に咲いた花!ってことです。

そもそも、どんな植物も花を付けるはずだから、最初の花ってのは最初の植物ってことでしょ?って思った方は義務教育時代の通信簿―今では、のびゆく子、あゆみ、などとも呼ばれるようです―で“生物”は平均以下の生徒だったんじゃあないかと思いますが・・・mhもその一人です。
そもそも、植物に詳しくても、花屋か生け花師になるんじゃぁなけりゃ、何の得もないから勉強する価値なんてないんじゃぁないかと思うかも知れませんが、その料簡は全く間違っています。義務教育の生徒ならどんな学科にも興味を持ち、知識を習得しようと努めることが肝要です。さすれば、知性豊かな大人になり、結果として、実入りが期待できると、mhは過去の反省を込めて教訓を垂れたいと思います。

閑話休題。
逆転発想で“無花植物”をネット検索すると次の記述が見つかります。
「無花植物可分為五大類:藻類、真菌類、蘚類、蕨類和祼子類」

中国語ですね。mhの知識でも解読できる文章で“無花植物は5つに大分類可能である;藻類(そうるい)、真菌類(しんきんるい)、蘚類(せんるい)、蕨類(けつるい;シダ類)そして裸子類(らしるい)"


で、この5つをWikiから簡単にご紹介すると次の通りです。
藻類(そうるい):
酸素発生型光合成を行う生物のうち、主に地上に生息するコケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称。淡水や海水といった水圏に棲むものが最も多い。
(mh昆布とか若布(ワカメ)ですね)
菌類(きんるい;真菌類とも):
一般にキノコ・カビ・酵母と呼ばれる生物の総称。代表格はキノコ。
蘚類(せんるい mosses )
コケ植物の一群。茎と葉からなる茎葉体の体制をもち、寿命の長い胞子体をもつ。
蕨(ケツ)類(シダ植物、羊歯植物、歯朶植物):(蕨:“わらび”と読む)
維管束植物かつ非種子植物である植物の総称、もしくはそこに含まれる植物で、胞子によって増える。
裸子植物 (らししょくぶつ):
種子植物のうち胚珠がむきだしになっているもの。ソテツ類、イチョウ類、マツ類、グネツム類を含む。

ネットで見つけた小学生向け植物分類図です。
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なに?裸子植物のマツ・イチョウは花が咲く植物だって???
ネットで確認すると雌雄異株のイチョウ(銀杏)も良く見れば花が咲いているようです!
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で~松の場合は少々、自信がない説明になりますが・・・
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上の写真で、下側の松ぼっくりは、どうも1年前の受精後の果実の残りで、種は果実から飛んでしまってもう残っていないでしょう。
詳しくは次の解説図でご確認下さい。新芽の先に新たな雌花が・・・
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裸子植物というと花が咲かないイメージが強いですが、それは、我々が花と見なさない形をしているからのようですね。

で~我々がイメージする花を付けない藻類、真菌類、蘚類、蕨類、裸子植物が持つイメージは・・・ジュラシックワールドで繁茂している古代の植物です。植物の歴史で考えた時、まず“無花植物”が地上に出現し、これに遅れて、ある時、“有花植物”が生まれました。

で~その、最初に生まれた花を付ける植物flowering plantはどんな植物なのか?いつ頃、地球に現れたのか?
これを探求するのが、これからご紹介する“The First Flower”です。

・・・・・・・・・・・・
花を付ける植物flowering plantは我々の感覚を楽しませてくれる。我々はそれらを花壇で愛(め)でるが、それらが我々の食材でもあることは忘れがちだ。事実、人類はそれらがなければ進化しなかっただろう。
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しかし、植物にとって、花は限られた栄養分を巨大に消費する重荷でもある。とすれば植物は何故、花を付けるのだろうか?
古植物学者ディルチャー「当然のことだが、花を付けるのは性交合のためだ」

花の起源は植物学者にとって昔から続く謎の一つだ。ダーウィンはその謎を“忌(い)まわしいadominable”と言った。
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今、その謎を解こうと、科学者たちの2つのチームが夫々別々に中国を移動しながら調査の旅を開始した。一つのチームは活きている植物が秘めている手掛かりを探している。
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もう一つのチームは、世界で最初の花かもしれない素晴らしい化石の中に、謎を解く鍵が見つかると考えている。
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2つのチームによって進化の謎は解かれるのだろうか?

First Flower:最初の花
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花は自然界の中で、人間の心の中でも、特別な地位を占めている。花を付ける植物は香ばしく、装飾的な対象物というだけではない。人間の生命にとって基本的なものだ。小麦、トウモロコシ、米を含む食糧のほとんどは花から生まれる。古代や近代の多くの薬も同じだ。しかし、その花は、一体、どこからやってきたのだろう?
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中国・吉林大学の孫革(スン・ガー)教授は、初期の花がここ、中国北部で生まれたと信じている。彼は、世界で最初の花を見つけようと決意している。
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内モンゴル自治区の境から遠くないある場所で、素晴らし化石が見つかる。地層は1億年以上も前のもののようだ。
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孫「見つけた化石は沈殿物の地層の間に出来ていた。化石を見つける仕事は本を1ページずつ括(くく)っていくようなものだ」
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孫はこの一帯の岩の層を10年以上も調べていたが、大きな成果はなかった。そんなある日、一人の学生が、新しい化石を3つ、孫の研究室に置いていった。
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最初の2つは孫がこれまで見つけていたものと同じだった。
孫「で、私は最後の、3つ目の化石を調べてみて驚いた。奇妙な化石だった。とても興奮した」
その化石は孫革がこれまで見たどんな化石とも異なっていた。
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2本の単純な枝の先に、種を含んだような構造物があった。
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そうだとすれば、現在の理論では“花”が付いていた証(あかし)だ。3つめの化石は、地球の歴史における初期の“花を付けた植物”だと考えていいのだろうか?

数か月をかけて分析した後、孫革はそれをアメリカにいる友人の植物学者にも見てもらうことにした。
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1億年以上も前に地中に埋められた、値を付けようがないこの化石は、これまでとは異なる種類の墓(mh地中ではなく研究室)の中で、新たな埋葬に耐えねばならなかった。

孫革は異なった意見another opinion(セカンド・オピニオンみたいなものです)を提供してもらおうと、化石を持ってフロリダ大学にいる長年の友人で同僚のデイビッド・ディルチャーを訪れた。

ディルチャー「そうかも知れないなぁ。多分、君の考えは正しいと思うよ」
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ディルチャーは古代の植物やその化石を研究する古植物学分野における世界的な学者の一人だ。彼の関心は花の起源を理解することだ。
ディルチャー「私はこの世で最も早く生まれた“花を付ける植物flowering plant”を探し続けている。多分・・・35年間もだよ」
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花が生まれる前、地球はシダfern、マツpine、今は絶滅した種類のシダ類、などの緑の植物で覆(おお)われていた。これらの植物の再生産過程(種から成長し、また種になるまで)は比較的ゆっくりしたもので非効率的だった。受粉は大抵の場合、風によって行われていた。
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しかし、化石の記録を調べると、花をつける植物が現れると、拡散し、地球を支配するようになったことが明確に示されている。花は勝利のための革新的な戦術だったのだ。
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ディルチャー「種(しゅ)の数で考えると、我々が目にする95%は花を付ける植物だと思う」
花を付ける植物は、花を造るために、その植物にとっては巨大なエネルギーを費(つい)やしている。
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花は美しいと言えるだろう。しかし、その美は、エネルギーという見方からすれば重荷なのだ。とすれば、どうしてそんな花などを付けるようになったのだろう?

いつ、どのように花をつける植物が生まれることになったのかは、長い間、植物学にとって最も大きな、そして最も美しい謎の一つだった。中国北部で見つかった、この奇妙な、新しい化石は、長い間の謎を解くことができるのだろうか?
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花を付ける植物の進化の結果を見るのに、地上で最も適した場所の一つは、中国の四川、雲南、チベットにまたがる、ハン・ドゥワン山脈(横断山脈)だろう。
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そこは世界でも最も生物多様性をもつ(mh多くの生物が生きている)温暖な森林地帯だ。植物愛好家には、妙に馴染(なじ)み深い場所に思えるかも知れない。
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というのは、彼らの花壇で咲く花の多くは、この山脈で生まれたものだからだ。
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成都大学のイン・カイプー教授は横断山脈で植物の多様性を研究するために彼の人生を注ぎ込んでいる。
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イン教授「ここを訪れる人は誰でも、この場所が好きになる。風景も美しい。生物多様性がとても豊かで、世界中の植物学者は、ここが植物進化の生きた博物館だと感じている」
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イン教授は、古代の化石から進化を調査する孫革やディルチャーとは別の道を辿(たど)っている。彼は生きている植物をカタログ化することで、進化の流れを書類化している。
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このように驚くべき程に多種の色や形や大きさの花は、どのように進化してきた結果なのか?花々はどのような関係を持っているのか?
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植物を探し、それをカタログ化することは、これらの疑問に答えるための基本だ。その仕事を進めるため、イン教授はアメリカ人植物専門家ダニエル・ヒンクレイと共同で作業している。
ヒンクレイ「中国は“庭園の母”だ。シダ、カエデ、椿camellia、ユリ、アイリス。我々は今、それらが誕生した場所にいる。ここからやって来たんだ」
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イン教授とヒンクレイの最初の調査場所は標高4200mの高原だ。ヒンクレイは横断山脈がどのように特別なのかを見たいと思い、何気なく車を下りてみた。
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ピンクレイ「ユリがあるね。驚きだ、コリダリス(corydalisポピーの一種)もある。リリアムラヴァフォーラム(?黄色い花です)だ!」
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「実際の花を見たのは初めてだ。花弁(はなびらpetal)が完全に分離していなくて、それが他と異なる特徴なんだ。ハーディ・ゼラニウムもある。○○も。エーデルワイスもある。ヨーロッパのアルプスでよく見つかる花だ。XXも。プリミュラprimulaも。目の前の狭い場所に、花壇で見つかる沢山の花が咲いているなんて驚きだよ。花の後ろに青い部分があるんだ」
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(mh;花の名前が次々に出てきましたが、英語が不明で、どんな花か確認できないものが多く、○○、XXとさせて頂きました)
「あれ?ここに信じられないような花が咲いている!驚いた!レイディ・スリッパー・オーキッドだ!」
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レイディ・スリッパー・オーキッド(蘭orchid)は変形した花弁で出来ている変わった形の袋(ポーチpouch)がある。
ヒンクレイ「自然に咲いているこの花を見たいと思う人は沢山いるはずだ。ラッキーだよ。全く信じられない!」

見つけるものがユニークな花であっても、ユニークな化石であっても、いずれも花を付ける植物の進化を理解する上で基本的なものだ。
横断山脈を、植物を格段に、旺盛(おうせい)に育成する場所にしている一つの原因は、“1日で四季を経験できる”と表現されることもある気候多様性だ。
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数時間、車で移動すれば、大気が湿っていて冷たい場所から夏の谷間に行くことが出来る。その道端(みちばた)にはサボテンが生えている。
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ヒンクレイ「信じられない程暑いですねぇ。それにとても乾燥している」
イン「まったくです」
地球の他の土地では、植物の数千種が氷河によってきれいに剥がされてしまったというのに、横断山脈では、特異な条件のおかげで、多くの植物が氷河期を生き抜くことになった。
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ここでは温暖な気候の多様性が機能し、安全な金庫の役目を果していたのだ。
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地球を半分ほど移動した所にも、異なる種類の植物多様性の安全な金庫がある。フロリダ・自然歴史博物館の中のデイビッド・ディルチャーの化石コレクションだ。
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沢山の引き出しの中には25万個以上の化石と地上における植物の生命の進化に関する書類保管されている。
ディルチャー「この化石は3億年よりも少し古い時代のものだ。今日では完全に絶滅した種だが、石炭紀には森林を形成していた」
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化石の記録は、花を付ける植物が、かなり遅くなってから進化で生まれて来たことを示している。しかし、生まれると地球を支配してしまった。
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ディルチャー「花の起源は地球の歴史の中でとても重要な現象だ。人類は、この進化の結果なのだから。花を付ける植物の生産物が無ければ、我々は今、ここにいないだろう」
しかし、花を付ける植物の進化を分類するのは、長い間、とても難しい作業だった。その理由の一つは、多くの植物は化石になる前に分解し、残るのは普通、その一部分でしかないからだ。このことは、中国で見つかった奇妙な、新しい化石をとても特別なものにしている。
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この植物の詳細は見事に保存されている。孫革教授は、アーキーフラクタスArchaefructus(mh中国語で古果)と命名した。“古い果実ancient fruit”だ。しかし、どのくらい古いのだろう?
孫「この明るい色をした岩はジュラ紀(ジュラシックjurassic時代)の典型だ。同じ地層から我々は沢山の恐竜も見つけている」
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中国北部のいくつかの岩層は1億5千万年前のジュラ紀のものだ。恐竜が繁栄していた時代だ。もしアーキーフラクタスがジュラ紀の花を付ける植物だと証明できたら、それは間違いなく、世界最初の花だ。
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その化石が見つかった時から数か月間で、孫革は、同じ場所から、さらにいくつかのアーキーフラクタスの化石を掘り出した。新たに発見された化石は、この植物がどんな姿をしていたのかに関する新たな、重要な詳細を提供していた。
ディルチャー「これは補助的な新芽だね。素晴らしい発見だよ」
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「最初の花をつける植物は、今日われわれが知っているどんな花とも似ていなかった。花弁は持っていないし、香りも持っていなかった。美しくもなかった。花は機能でしかなかったんだ」
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花のようには見えないこの化石が何故、世界で最初の花なのかを理解するには、まず花の機能を理解しておかなければならない。
ディルチャー「花の全ては性だ。それは間違いない。花は植物再生の生物学を管轄している。そして再生の生物学は性的な過程なのだ」
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花の基本的な性生活を、ユリを使って解説しよう。ユリの花には、誰でも気付く花弁(はなびら)がある。
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しかし、注目に値する肝心な場所は中心にある。雄蕊(おしべstamenステイメン)は男性で花粉(pollen)を作る。雌蕊(めしべpistil)は女性で卵巣(ovary)を持っている。植物は自己受粉self-pollinationを避けるため、手が込んだ戦略を立てている。例えば女性部は男性部の花粉と異なる時期に成熟する。別の花からの花粉が、よく行われるように昆虫によって運ばれて雌蕊に付着すると、花粉管pollen tubeが伸びて精子spermを卵eggに運び、果実fruitの中に種を作って再生工程が行われることになる。
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艶(あで)やかな花弁や香りを持つ美しい花は、必要な機能を実に見事に備えているのだ。
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ディルチャー「花を付ける植物は世界で最初の広告主だった。彼らは美しい花弁を付け、華麗な形をし、芳香(ほうこう)を放ち、自分たちを訪れる昆虫たちに褒美(ほうび)として甘露(nectarネクター)とか花粉を与えたのだ。花は何を宣伝していたのか?性機能を宣伝していたのだ。男性部も女性部も隠されて花の中心部に位置している」
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「従って、もし彼らが、動く花粉媒介者を惹(ひ)きつけ、花の中で暴れさせ、足や体で花粉を拾わせられたら、花粉媒介者はその後、少し離れた所で咲いている別の花に飛んでいき、この工程を繰り返す。彼らは、花粉の粒の中にある男性の遺伝子をもつ物質を別の花に効率的に運ぶことが出来るんだ」
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ヒンクレイ「色や形が艶(あで)やかな、このパレット(palette調色板)が現実に私の眼の前にあるというのはとても魅惑的だ。しかし、我々が今見ているものの現実はそれらの種(しゅ)の生存の物語だ」
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花の進化の物語は、昆虫や鳥といった花粉媒介者の物語とも一体的に関係している。この共同進化は彼らの驚くべき多様性とも密接に関係している。
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花を付ける植物には、薔薇(バラ)、小麦、更には林檎(リンゴ)の木など、40万の異なる種(しゅ)があると考えられている。
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ピンクレイ「なんてことだ。信じられない!Oh my God! I can’t believe it! 今まで、ずっとこれを見たいと思っていたんだ!マンドラゴラ(mandragora別名マンドレイク;ナス科の花)だ!」
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「ハリー・ポッターで有名になった。既にここに実が付いている。本当に素晴らしい!全ての花を付ける植物は、花を付け、実をつける。実(み)は新しい世代だ。林檎、南瓜(カボチャ)、毒苺(どくいちご)、みんな同じだ。それは種(しゅ)の再生なんだ。種の増強でもある。この種(たね)は少し変わっている。土の上に落ちても大丈夫だ。少し過酷な条件に出会っても生き延びる」

ディルチャーは、中国から届いたこの化石は、美しくはないが、近代の花のように、原理的な花粉と種(たね)を作る組織を持つ最初の植物だと考えている。
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この化石は、アーキーフラクタスが、近代のユリと同じように、男性の組織である花粉と、カラプル(?)と呼ばれる雌蕊に似た女性の組織を持っていたことを示している。
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カラプルの中には卵がある。成熟すれば種(たね)になる。
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しかし、ユリと違って、これらの組織は“花弁”からではなく、茎(くき)から伸びている。ディルチャーは長い年月の進化を経て茎の部分が縮み、組織を一ヵ所に集め、その結果、効率的な受粉が可能になり、更には、葉を鮮やかな色の花弁に変え、その結果、現代の我々が花と考えるものが創り出されたと考えている。
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ディルチャー「化石を見ると、カラプルと、カラプルの中に包まれている種があることが判る。孫革と私は、これこそが世界で最初の花だと知っている。身の毛がよだつような素晴らしい体験だ」
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その考えは正しいのだろうか?それとも間違っているのだろうか?孫革とディルチャーは論争に晒(さら)されることになる。彼らは、それが世界で最初の花であることを証明したいと思っている。
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花はいつでも情熱を掻(か)き立てる。新しい花や化石を探す作業は植物学者たちを過激にさせる。
イン教授とヒンクレイは1900年代の初めに中国を旅した有名な英国人植物探検家アーネスト・H・ウィルソンErnest Henry Wilsonの足跡を辿(たど)っている。
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ウィルソンは植物探検分野で偉大な人物の一人だ。彼は、英国とアメリカの庭で栽培する植物を求めて、ここ中国で4回の探検旅行をしている。
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どんな見地から考えてみても、彼は驚くほどの成功者だ。彼は、新しい種類のロードデンドロン(rhododendronシャクナゲ類)、ドッグウッド(dogwoodハナミズキ)、ボミタス(?)、フォセィフィア(forsythiaレンギョウ)、ポピー、プリミュラ(primulaサクラソウ)、そして薔薇など、1500種の植物を西洋に持ち込んだ。

しかし1900年代における花の探索はとても危険な仕事だった。そして、この花に対するウィルソンの執着は彼の命を賭けたものとも言えるだろう。
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リーガル・リリーは今日では、世界でもとても一般的な花だ。元々の自然の習性は、岩壁にへばりつき、中国西部の狭い谷間で100Kmに渡って生息していた。
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1910年、このユリの球根bulb数千個を運んでいたウィルソン探検隊は細い崖路で土砂崩れに襲われ、岩はウィルソンの足の2ヶ所で骨折を引き起こした。
イン教授「ウィルソンは足に大怪我をした。持って来ていた撮影用三脚を足に縛り付けた。するとトゥチャイエンからソンパンに向け、40から50頭の騾馬(らば)がやって来た」
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「ウィルソンは細い崖路の上で体を道の隅にどかすことが出来ず、騾馬も細い道で向きを変えて戻ることが出来なかった。そこで彼は道の上に横たわり、全ての騾馬に彼の体を跨がせて通したんだ」
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ウィルソンは壊疽(えそ)に罹(かか)ってしまった。足を切断して一命はとりとめたが、強い麻痺(まひ)が残ることになり、以降“リリー・リンプ(ユリの麻痺)”という綽名(あだな)で呼ばれるようになった。しかし、ウィルソンの遺産とリーガル・リリーは文字道理、あなたの庭の中で生きている。
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ウィルソンの遺産はロンドン郊外のキューKewにある王室植物園でも生き続けている。ここには世界でも最も広い乾燥植物園herbarium、つまり乾燥植物の図書館、の一つがある。
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ピーター・クレインは主任の古生物学者だ。キュー王室植物園の前責任者だった。
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クレイン「この建物の中に、7百万から8百万の乾燥植物の検体がある。この星のほとんどの植物があるとも言えるだろう」
「その中には、中国の狭い谷の中でウィルソンが集めた、まさにそのものも含まれている」
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“Lilium regale Wilsonリリウム・リーガル・ウィルソン”
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(mh:Lilium regaleはregal lilyのことで、今では世界で最も一般的なユリです)
「それは美しくて魅惑的な植物で、ウィルソンが園芸に持ち込んだ偉大な植物の一つだ」
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植物の研究は、人類の歴史を通じて、人間にとって重要なものだ。何故なら、植物は食糧、薬、経済にとって重要なものだからだ。植物を理解するためには、それらの各々がどんな関連を持っているか把握する必要がある。その作業の一部は、分類や仕分けによって、植物分類図family treeを整理することだ。このコレクションの中心は検体の種類type specimenだ。植物は種類で集められる。その種(しゅ)を定義する例だ。
クレイン「これは、そのとても素晴らしいものだ。なぜなら、ダーウィンがビーグル号で航海した時に集めた検体だからだ」
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「ジェンチャン(gentianリンドウ)の検体で、ダーウィンが採取した時は青い花を付けていただろう。今は枯れて、彼が採取した時ほど印象的ではないが、顕微鏡で見ると、細部はそのまま残っている。花粉の粒の一つ一つも研究することすらできる。ダーウィンは生命の全ての多様性は相互に関係していることを示した」
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「まだ解明されず残っていることは、植物や動物の生命の多様性が、どのように関係していて、それがどこに当てはまるか?ということだ。どれがどれに、どのように関係しているのか?分類図はどうなっているのか?ということだ」
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「ダーウィンは分類図family treeがあるはずだと知っていた。しかし、彼は植物を関係付ける方法を知らなかった。色々な種類がどのように関係しているのかを明確にする、確実な手段を持っていなかったのだ」
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ディルチャー「ダーウィンの時代、彼が最も初期の“花を付ける植物”の記録を調べていた時、花を付ける植物が無い時代があったことに気づいた。そしてある時、突然、花を付ける植物は出現し、それがきちんとした植物に進化してきたのだ。彼はそれを“忌まわしい謎”と表現した」
クレイン「それは、ヴィクトリア時代の美しい言葉と言えるだろう。私が思うに“忌まわしい”というのは、彼の理解の方法と関係があったんじゃあないかと思う。彼は、深く知りたかったんだ。そこに、彼が知らねばならない何かがある、と彼は知っていた。にもかかわらず、それを知ることが出来なかったんでイライラしていたんだ」
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その“忌々しい謎”を解くことこそ、孫革とディルチャーがやろうとしていることだ。彼らは、孫革が最初に化石を発見した場所に戻って来た。
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アーキーフラクタスは、ダーウィンが探していた、花を付ける植物の初期の原型の進化段階の一つだろうか?
孫「この検体からは、根の体系がとても弱い、または未完成であることが判る。水生植物に典型的な特徴だ」
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ディルチャー「もう、かなり作業してますねぇ」
孫「これは魚のようじゃぁないですか!」
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アーキーフラクタスが生えていた時代、ここは大きな内陸湖だった。ディルチャーと孫は、アーキーフラクタスは湖の畔(ほとり)で進化したと考えている。
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しかし、古代の化石は別の方法でも解明できる。

フリーズ「アーキーフラクタスは最初の花じゃぁないわ。とても興味深い化石だけど、最も古いものじゃぁないわ」
エルサ・マリー・フリーズはストックホルムの、先端をいく古植物学者で、アーキーフラクタスを分析し、ディルチャーや孫革の考えに反対している。
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フリーズ「花を付ける植物の起源に関する真実を知るには、まだまだ調べなければならないことが沢山あるわ」
フリーズは、アーキーフラクタスは水中で生存適応した印を残していると考えている。
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そのことは、かなり進化した植物であることを意味する。従って、最初の花ではない、と彼女は言う。彼女もまた、世界で最も古い花を探している。しかし、その手法は孫たちとは異なっている。岩層を打ち砕く代わりに、古代の沈殿物を水に溶かし、篩(ふるい)で分け、そこから葉や種を見つけるのだ。
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フリーズ「始めは別の方法でやっていたのだけれど、沢山の小さなものが流れ去ってしまうのに気付いたので、更に細かい篩を使い始めたの」
フリーズは篩に残ったものの中から何時間もかけて植物の欠片を選び出す。そして、ある日、びっくりするようなものを見た。植物のこれらの欠片を一つ一つ見ていて、その小さないくつかが、花そのものであることに気付いたのだ!
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フリーズ「それを見た時は、勿論、とても興奮したわ。素晴らしい瞬間だったわ。花の細かな部分の全てがそこにあったのよ!」
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ここにあるものは、何百万年も前には花だった。その花は、今でも咲いた状態のままだ。とても特殊な沈殿物の中で、これらの小さな花は炭化し、完璧な姿で残された。
フリーズ「ここに原始時代の花弁が見えているわ」
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「形がそのまま保存されているから、どこにどんな組織があるか判るのよ」
これらの小さな花の中で最も古いものは1億2千年前のものだと判明している。アーキーフラクタスが最初の花であるためには、それより古くなければならない。それは孫革とディルチャーにはプレッシャーだった。アーキーフラクタスはどのくらい古いかを証明しなければ疑いは膨らむばかりだ。
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クレイン「どんな花でも、それが最初の花だと主張するには沢山の問題がある。単純に考えるなら、その花が生きていた時代が問題だ。一番古い時代でなければいけない。しかし、生きていた時代を明確にするのは簡単な仕事じゃぁない。従ってそれ以外に答えがないのだから、それに違いない、といった仮説を立てることになる。発見したものが、その当時のものとしか考えられない、という仮説を提供する方法だ。それは、勿論だが、ある意味では馬鹿げた仮説だ。何故なら、化石について言えば、我々には、知っている以上に、知っていないことの方が多いのだから」

孫革とディルチャーは、同じ場所で見つかった他の化石を参考に、アーキーフラクタスが1億4千万年前のものだと特定していた。それが正しければ、恐竜が繁栄していたジュラ紀の花ということになる。ジュラ紀における花を付ける植物を見つけた人は誰もいなかった。それは植物学では音速を越えるようなもので、ある種の自己破壊を起こす可能性があった。

アーキーフラクタスは科学雑誌の表紙と、ニューヨークタイムズ紙の記事を飾る栄光を得た。
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この古代植物は近代の“15分間の名声(?)”を獲得した。
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ヒッキー「アーキーフラクタスは私を驚かせた。というのは、植物としては、ほとんど進歩していなくて、私が考えていた初期の花を付ける植物と、ほとんど合致しなかったからだ。それで、私はその花の時期に関して、強い疑いを持ち、研究室に戻ると調査を始めた」
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エール大学のレオ・ヒッキーは別の方法で最初の花の追跡をしていた。お茶の葉を科学的に読むといった方法だ。
ヒッキー「葉は進化について我々に驚く程、多くのことを語ってくれる。葉は植物が環境に順応する基本的な方法だ。つまり光を捕える装置なんだ。そして葉の僅かな構造や葉脈バターンの違いは植物に必要な糖分の生成効率に大きな差を与える」
ヒッキーは、葉が何種類もの極めて異なる葉脈パターンを持っていることを発見した。このパターンを理解することがその植物の進化の手掛かりだ。
「これはとても原始的な、組織化されていないパターンだ」
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「太い葉脈や細い葉脈の間には規則性がほとんど見受けられない。太い葉脈自体も真っ直ぐではなく、曲がりくねっている」
「これは、もっと進化した葉だ。葉脈は真っ直ぐだ」
最も進化した葉は、より直線的な葉脈を持っていて、効率が良い配管のようだ。
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「近代の葉になるほど、葉脈は上手く配置されているんだ。進化が進むと経済的なモデルが創り出されている。安く、短時間で、より効率的になる。これが多分、生き残っていく秘訣(ひけつ)だ」

しかし、葉は更に深い分析をも提供してくれる。電子顕微鏡は、昔なら見ることがない植物の花粉の詳細に焦点を当て、我々に見せてくれる。花粉は化石の記録の中では葉よりも更に一般的なものだ。
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「葉は、その辺りに見つかる。そして花粉はもっと沢山の沈殿物の中に見つかるんだ。花粉が持っている証拠は優れた時代確定道具だった」
夫々の花粉粒子の複雑な詳細を見れば、科学者はどんな花をつける植物の花粉かを特定することが出来る。
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そこから、その花粉がいつ頃、地上に出現したのかを推定できる。彼らの答えは?
「もっとも古い花をつける植物の花粉は白亜紀の岩の中から現れている。見つかった例でいくと1億3千4百万年前だ」
それは驚くべき発見と言えよう。それはいつ、花を付ける植物が出現したのかというダーウィンの質問に答えるのに役立つだろう。しかし、アーキーフラクタスの年代については疑いを向けることになる。どうしてアーキーフラクタスは、今まで知られている花を付ける植物の花粉よりも凡そ1千万年も古いといえるのだろう?
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それを明確に見つけ出す唯一の方法は、アーキーフラクタスの化石を仕舞い込んでいた地層の年代を調べることだ。

カリフォルニア大学バークレー校と中国から集まったメンバーで構成されたチームは、化石が見つかった地層の鉱物に含まれている放射性元素の減衰率を測定した。その結果は孫革やディルチャーが期待していたものではなかった。新たな証拠は化石の年齢を1億4400万年から1億2460万年に移し替えた。それは花粉の証拠とほぼ同じ年代だ。
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このことは、アーキーフラクタスは依然として、最も古いと判明している“花を付ける植物”の完全な姿での化石である、と言っている。しかし、その時期はジュラ紀から白亜紀の初期に移った。考古学的には降格と言えるかも知れない。
ディルチャー「焦点が突然変化して新たな事実が出てきた。“そうか、古生物学的な間違いがあったってことか”って思った。時代検証が間違っていたんだってね。この結果は私にとって大きな失望だった。何故なら、私は最初の花を付ける植物に興奮していたからだ。しかし、我々が当初報告した時代よりも、事実は1千4百万年とか1千6百万年ほど新しいとしても、依然として、アーキーフラクタスは完璧な姿の最も古い“花をつける植物”だという記録を我々は手にしているんだ」

美しい風景の横断山脈の中では、アーキーフラクタスに関する論争はそんなに熱を帯びている様子はない。この地で起きていることは、これらの議論が何についての論争かに関する、新しい手掛かりの出現だ。
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分類図family treeは、葉や花粉など植物の様々な特性を比較しながら、何世紀もかけて試行錯誤され、作成されてきた。植物の構造や特性の違いが進化の変化の指標だった。そしてそれがどこに属するかを決める基本は分類図に頼っていた。
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異なる外観の植物をどの様にして関係のある種にグループ分けするかの見事な例は、春、この山中を埋め尽くす花の中で見ることが出来る。ロードデンドロン(シャクナゲ類)は北アメリカでは40種以下の野生種しかないが、中国には500種以上もある。
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ロードデンドロンはここ横断山脈で繁栄した。適応性があり、新たな種(しゅ)を作る力が強かったからだ。
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イン教授「このロードデンドロンの小さな葉を見て下さい」
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「横断山地が隆起するにつれ、これらの植物は高さに適応してきたんです。葉は小さく、厚くなっていきました。小さな毛も生えてきました。高地の冷たい気候や強い風の中でも、湿気を失わないように適応してきた結果です」

ヒンクレイ「このロードデンドロンを見てよ。とても素晴らしい!」
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海抜が低いと、同じ系列の植物なのに異なっている。
ヒンクレイ「葉の長さは40cm、樹高は15mはあるよ」

ロードデンドロンのような違いが最初に生まれたのに違いない。葉といった基本的な要素の構造はとても似ている。
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ここ40年の間、イン教授と成都大学は横断山脈に生息する数千種の植物をカタログ化してきた。外見が似ている、異種のロードデンドロンの関係を見つけるのは比較的簡単だ。しかし、知られている数10万の植物の種(しゅ)を分類する作業は、直ぐ手に余り出す。
ピンクレイ「キウイ、○○、XX、・・・(mh植物の名前を言ってますが判ったのはキウイだけでした)、雑草」
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クレイン「植物の分類を正しく行うことは、とても、とても重要な事だ。どこから来たのか、何に関係しているのか、ということは、今日、それがどこにあり、どのようにあるのかを語る、重要なものだ(mhつまり、正確な分類図family treeを作ることが重要だってことですね)」
英国のキュー植物園の中の伝説の乾燥植物園から数ブロック離れた所に、科学者たちは植物を分類するための新たな道具を持っている。生きている植物から得たDNAとも呼ばれる遺伝子geneは、より正確な分類図を作り上げる作業を助けている。
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チェイス「DNAを植物から採取するのはとても簡単だ。家庭の台所でもできる。それは、見ていても特別な事ではない」
この容器に入っているヌルヌルしたものは植物のDNAで、4つの、良く知られている基本体A, T, C,Gから出来ている」
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(mh:ATGCは遺伝子の塩基配列で、Aアデニン,Tチミン,Gグアニン,Cシトシン)
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研究所主任のマーク・チェイスはそのDNAの証拠を巨大なコンピュータ・マトリックスに変換した。植物の一つ一つが持っているDNAの数千の基本的な対(つい)はマトリックスにはめ込まれ、他の植物のDNAマトリックスと比較される。基本の対の色コードは、違いを見つける作業を助けてくれる。人類の遺伝子調査と同等の調査が植物でも行われているのだ。
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チェイス「このレポートの作成には43人の共同報告者がいる。膨大な労力が注入されて完成したものだ」
コンピュータ分析は極めて複雑だったので、フロリダ大学のダグやパム・ソルティスを含む科学者の連合が必要だった。
パム「同じ方法の分析は動物についても行われているの。例えば、人間とチンパンジーは99%以上も同じDNA結合を持っているの。それで、チンパンジーは人間に最も近い親戚だっていう推論がされたのよ」
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DNA配列が近い程、2つの植物の進化関係も近い。
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この考えを進めれば、遺伝子的に類似な植物の集団を作ることが出来る。その結果は、手の中に簡単に収まる量ではない。
パム「この部分は花をつける植物じゃあないわ。この辺りもそうじゃあないわ」
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「この真ん中あたりから、全て花を付ける植物ね」
ダグ「数10万以上のとても膨大な数の植物のDNAがあるんだ。それらは植物の多様性を表現している。ここにある表の1行1行は、他と異なる植物で、密接な関係を持つ植物は“関係が強いグループ”とか、“クレイドclade系統群”と呼ばれている」
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「ここには一つの小さなクレイド、ここには大きなクレイド、って具合に分けることができる。それが、どんどん続いていて、緑の生命体(植物)の分類図が出来上っているんだ」
DNAを裏付け証拠とすることで、生きている“花を付ける植物”の分類図は広大な領域で描かれてきた。
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昔の分類図は植木が剪定(せんてい)されるように、大半の枝は剪定されてしまい、DNAに基づいた新しい分類図に置き換えられている。バラは、スクォッシュ(squash唐茄子)、苺(イチゴ)、マリファナmarijuanaに近い関係があることが判明した。
この食虫植物は、中国で有名なロードデンドロン(シャクナゲ類)に近い。
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何世紀もの間、睡蓮(water lilyすいれん)は蓮(lotusハス)の双子の兄弟だと考えられていたが、もはや、そうではない。
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「信じられないかも知れないがbelieve or not、蓮(ハス)に近い親戚はシカモアsycamoreとも呼ばれるロンドン平原樹London plane treeで、見ればわかるが、全く水生植物ではない。大きな木だ」
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アンディ・ダーラは古い分類図に従って植物を組織化してきたキュー植物園の庭師だ。その庭は“秩序の花壇”と呼ばれている。彼は、その秩序を“新しい秩序”に合わせ直すという何んとも大変な仕事をしなければならなくなっていた。
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ダーラ「我々は、どうしたらいいかはっきりしない分類図に従って植え付け作業をしてきた。空いた時間があれば、庭の手入れや芝刈りや、花壇の柵の手入れなんかもした。しかし、今は、最新の分類に合わせ直す仕事に追われている。植物科学や植物学も理解しないと駄目なんだ。簡単にできればいいんだけど、これが結構、難しいんだ」

DNAの証拠によって生まれた最も大きな驚きは、恐らく、全ての番号化が終わり、生きている、ある、花をつける植物が分類図の一番下に現れた瞬間だろう。アンボレラamborellaだ!
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それは分類図の中で、時代的に一番古い植物だ。従って、とても稀な植物で、太平洋の、離れた島国ニューカレドニアのみで見つかる。とするなら、孫革が見つけた化石のアーキーフラクタスではなく、アンボレラが、世界で今も生きている植物の中で、最も古い花を付ける植物なのだろうか?
必ずしもそうとは言えないようだ。
クレイン「分子的な証拠は、今、生きている植物について多くの詳細を教えてくれる。しかし、絶滅した植物の多様性については教えてくれない」
アーキーフラクタスはその一例だ。この花が、新しい分子分類図の中のどこに適合するのか、我々は知らない。何故なら、我々はそのDNAを持っていないからだ。
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クレイン「つまり我々は、これらの2つの証拠の流れをどうして統合したらよいのかという困難な問題を持っている。しかも、この2つとも、完璧な構図を理解するには同じように重要なのだ」

ディルチャーと孫革はその完全な構図を作る作業をしている。彼らは葉、花粉、そして眼で見ることが出来るその他の構造について、アーキーフラクタスとアンボレラで比較した。彼らの分析では、アーキーフラクタスの方が原始的に見えるので、最初に進化したはずだと言う。従って、彼らはアーキーフラクタスを“我々が知る限りで最も古い、花を付ける植物”と呼んでいる。
ディルチャー「当時、世界の異なる環境の中のどこかに、花を付ける植物があったのか、なかったのかについては、私には判らない。しかし、化石の記録を否定することは誰も出来ないはずだ。そこにあるんだから。このような古代の花を付ける植物が存在していたっていう“固い証拠”がね」

今日、アーキーフラクタスはカリフォルニア科学学会の外来者用展示室という、素人に理解し易い環境の中で誰でも見ることが出来る。
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そこにあるジオラマdioramaは、今から1億年以上まえの中国北部での生命活動を再現している。湖の脇で成長しているのはアーキーフラクタスのモデルだ。
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ここに展示されていることで、弱々しい花をつける植物が、我々人類に食材や薬を提供することで、巨大な力を持っていた恐竜たちよりも我々の未来の世界を大きく変化させたことを思い出させている。
ディルチャー「アーキーフラクタスのような最初の花と、私の庭に咲いている美しい花の間の飛躍stepは、花を付ける植物の進化の中で、とても大きい飛躍だ。しかし、私は、頭の中で、私の庭の花と私が化石の中で見つけた花の関係を描くことが出来る」
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その一方で、中国西部や世界中の他の場所の、広い、植物多様性を安全に仕舞い込んでいる金庫の中で、花の進化に関するどんな手掛かりが今も成長しているか、その手掛かりはあとどのくらいの期間、残り続けていてくれるのか、について誰も知らない。
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国際連合は横断山脈が都市化の波で生態的な侵害を受けていると宣告した。
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イン教授「植物の種(しゅ)は急速に消滅している。もし我々が保護しなければ、多くの種が失われてしまうだろう」
いくつかの国際機関は、環境破壊という近代の氷河によって多様性が永遠に失われてしまう前に、この一帯を保護する努力を強化するよう要請している。
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孫革とディルチャーはまだ他にも最初の花の謎に光を当ててくれる化石が埋まっていることを知っている。彼らはそれを探す決心をしている。
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花を付ける植物がどのように生まれて来たのかに関する謎の全貌は、まだ解明できていない。しかし、権威のある植物学者も言っているように“それは謎だが、もはや忌まわしい謎ではない”
The First Flower
https://www.youtube.com/watch?v=f7ztefVrFnU&t=99
・・・・・・・・・・・・
フィルムで紹介されているアーキーフラクタス(アルカエフルクトゥス、古果、Archaefructus)はWikiで見つかります。
「アルカエフルクトゥス(古果、Archaefructus)はジュラ紀から白亜紀に入る頃生育した被子植物の化石属。現在見出されている最も古い被子植物の化石で、古い被子植物の形態を表していると考えられている。中国遼寧省の中生代の地層から、吉林大学の孫革(スン・ガー)教授らによって発見された」
(mh:Archaefructusはラテン語で“古代の果実”の意)
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フィルムで紹介されていたように、生物の分類は、動物も植物も、遺伝子で行われているんですねぇ。当然といえば当然なのでしょうが、目から鱗が落ちた気分です。

そういえば、サクラ(桜)はバラ科だが・・・
と思い付き、調べてみると、バラ科 Rosaceae (被子植物 双子葉離弁花類)には100の“属”と3000の種類があるようですね。みなさんがご承知の植物を挙げると次の通りです。
杏子(あんず:サクラ属)、苺(いちご:オランダイチゴ属)、梅(うめ:サクラ属)、 桜(さくら:サクラ属)、梨(なし:ナシ属)、浜茄子(はまなす:バラ属)、薔薇(ばら:バラ属)、木瓜(ぼけ:ボケ属)、桃(もも:モモ属)、山吹(やまぶき:ヤマブキ属)、雪柳(ゆきやなぎ:シモツケ属)、林檎(りんご:リンゴ属)。

梨も苺も林檎もバラ科?

なぜそうなのか?今ならmhも理解できています。お釈迦様も仰ったように因果応報だったんですねぇ。遺伝子の塩基配列(ATGC:Aアデニン,Tチミン,Gグアニン,Cシトシン)が近いんですね。人間の遺伝子に一番近いのがチンパンジーだとフィルムでは言っていました。この件については、判りやすい解説がネットで見つかりましたのでご紹介しておきます。内容の真偽についてはmhはコメントできる知識は持ち合わせていません。
http://gigazine.net/news/20150721-human-not-99percent-chimp/

今から60年前の昭和27年、日本で古代の種から花が咲きました。植物学者でハスの権威者でもある大賀一郎(当時・関東学院大学非常勤講師)が、千葉県千葉市検見川(現・千葉市花見川区朝日ケ丘町)にある東京大学検見川厚生農場(現・東京大学検見川総合運動場)の落合遺跡で見つかった蓮の種3粒を植え付けると、翌年、そのうちの1粒から開花したんですね。その時の写真でしょう。
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当初、縄文蓮などと呼ばれたようですが、炭素年代測定では2千年前のものと判り、以降は“大賀ハス”とか“古代ハス”と呼ばれているようです。スイレン科/ハス属で、スイレン科/スイレン属とは一線を画しているんですね。
なお、2千年前といえば弥生時代(紀元前10世紀(又は同4世紀)頃から、紀元後3世紀中頃まで)ですが、“弥生ハス”と呼ばれることは少なく、縄文ハスか古代ハスだったようですね。お釈迦様が仰るように、因果応報ですが、この原因についてはネットに情報が見つかりません。どっちでもいいことですが、mhが思うに、種が見つかった当時、縄文時代だ!と誰かが発議したんですね。弥生時代だとそんなに古いって訳じゃあありません。縄文時代なら、約1万5,000年前(紀元前131世紀頃)から約2,300年前(紀元前4世紀頃)ですから、かなり古いってイメージがありますからね。で、縄文ハスだ!って発議したんですが、その後の炭素年代測定で、そうじゃぁなくて弥生時代の種だったって判ったんですが、今更、縄文を弥生に修正するのは、癪(しゃく)に障ったんだと思います。更には、縄文ハスなら語呂が言いというか、音感的に自然ですが、“弥生ハス”ってのは、語呂が悪くて言いにくいんですね。で~縄文ハスだと嘘になっちゃうから古代ハスと呼ぶことにしたんじゃぁないかって思います。どっちでもいいことですが。
(完)

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