Mysterious Questions In The World

世界のミステリーをご紹介します。

青の不思議:続編


お知らせ:
このブログに張り付けておいた写真は手違いで消去してしまいました。
保管しておいたpdfから再生したブログはライブドアのブログに張り付けておきましたので
もしご関心がございましたら、つぎのURLでご確認下さい。
http://blog.livedoor.jp/mysteryhunter/preview/edit/6c53e6e276bcab01a57ef8d8260366cd
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http://blog.livedoor.jp/mysteryhunter/

続:青の不思議    2014年5月28日  Mystery Hunter

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        ベネチア;サン・マルコ広場の鐘楼を望むゴンドラの舫い場

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     国際宇宙ステーションから見た日没時の地球の大気
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5月8日公開の「青天蓋モスクの不思議:なぜ青なのか?の解答(前篇)」の続編です。

BBC(英国放送協会)のフィルムから「Blue. History of Art in Three Colours(青:三つの色の芸術史)」をご紹介しましょう。
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「金」「白」「青」の三色を取り上げたシリーズで、今回は「青」を紹介します。

が、その前に少し時間を頂き、例によって漢詩を披露させて下さい。
 贈汪倫(汪倫に贈る):李白
   李白乘舟將欲行  李白舟に乘って將に行かんと欲す
   忽聞岸上踏歌聲  忽(たちま)ち聞く岸上踏歌(とうか)の聲
   桃花潭水深千尺  桃花潭水 深さ千尺
   不及汪倫送我情  及ばず汪倫の我を送るの情に


李白(私!)が船に乗り出発しようしたら、突然岸辺から足を踏み鳴らす音が聞こえた、
桃花潭の水は千尺の深さがあると聞くが、汪倫の情の深さには及ばない
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                (現在の桃花潭)
桃花潭は安徽省にある川の淵の名、李白はそこに遊んだ時、村人の汪倫というものの世話になった、この詩はその汪倫の情の深さを歌ったものだ。
(mh: 汪倫の子孫は、毎年、桃花潭に集い、この詩を読んでは李白と祖先を忍ぶようです。この詩は汪家に千年以上受け継がれた家宝なのです。集いでは、当然ですが酒が(ビールも?)振る舞われるはず。できたら私も末席に加えさせて頂き、ビールを飲んで皆さんと一緒に李白の詩を楽しみたいものです。)

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金:危険な毒々しさを秘めた最も神聖とも言える色・・・・
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白:何の意味も持たぬ時期もあったが、今では純潔・清廉の色・・・
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そして青・・・・・・・
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いつも我々の周りに在るのに、どういう訳か決して手が届かない。
例えば、海の青、そして空の青・・・
触ることは出来ないし、どこまで行っても青い水平線に到達することは出来ない。

だから我々の想像力を捉えて離さない。
青は、いつも我々の住む世界の向うに在って我々を焦らす。



青の物語は数千年前のヨーロッパの先端都市ベネチアから始まる。

アフガニスタンの商人は、砂漠や地中海を越え、遥々5千kmを旅して不思議な荷物をベネチアに運んできた、金と交換するために!
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その荷物とはラピスラズリ。Lapis(石) Lazuri(群青の空)
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空の欠片のような青・・・・・・
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先史時代の洞窟壁画に「青」は現れていない。
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ギリシャにも「青」という言葉すら無かった。
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ローマ帝国でもポンペイの時代には無かった。
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中世でも鮮やかな「青」は見られない。
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ベネチアの画家達はこぞってラピスラズリの青を手にしたいと切望した。

ラピスラズリで絵具を造るには、まず、布で包んだ石をハンマーで叩いて割る。とても硬い。
得られた小さな欠片を擂鉢に入れ忍耐強く潰す。
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石で磨り潰して更に細かくし、ワックスで包んで十分練り上げる。
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それを油に溶かし、浮き出た不純物を取り除く。
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するとラピスラズリが持つ「輝きの青」が出来上る。
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それまでは誰も見たことが無い、明るく、強く、鮮烈な青だった!

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青は数十年で西洋の芸術の中に広く浸透していった。
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写本で神聖な文を表記する時や、神聖な絵の背景として使われ始めた。
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1303年、イタリア・ルネッサンスの父、ジョトエフは「青」を神聖な色に高めることになるマスターピースを完成させた。

パジュアにある何の変哲もない教会。
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しかし建物の中は違う!
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最後の晩餐

最大の傑作は天井だ。
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幾百もの金の星が散りばめられた青い空。
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天国のようだ!
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聖母マリア、キリストは青い服を纏っている。
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これを機に、青は神聖な色と見なされ始め、教会は青を管理しようと目論んだ。
つまり供給を制限し、価格を吊り上げたのだ。

青は金より高価になった。金持ちのパトロンだけが有名な画家に青い絵具を買い与え、イコンなどを描かせることが出来た。
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<青は神聖色のようだ。>
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<青は偉大な秘密を覆い隠すベールだ。>
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<青はその向うにあるもの、星の彼方にあるものを隠す。>
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<それは神が仄めかす偉大な秘密だ。>
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<青という色を通じて・・・>

青は聖母マリアだけに許される色になっていった。
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1420年イタリア
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1445年
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1490年ドイツ
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16世紀初頭、イタリア人画家ティッシャーはベネチアにやって来た。
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ベネチアでは、運河に沿って店を覗けばどんな色の絵具も手に入った。

彼は色にうるさかった。しかし青を自由に使えないことに苛立ち、請け負った教会壁画の中で、誰もしてこなかったことをした!
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絵の中央から外れた所に青いガウンがわずかに見えるマリアを描いた!
そして中心には・・・・・・マリアではなく、青い服を纏った男を大きく描いたのだ!
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1967年、ロンドン美術館で、このティッシャーが描いた「バッカス(ローマ神話の酒神)」を修復することになった。
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埃や泥で薄汚れているがX線で調べると元の絵はどうも違うようだ!
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「バッカス」には青が使われていた!絵の左半分でふんだんに!
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中央右の女性は勿論、マリアではない。青い服を纏い右の乳房を露わにしている!

ティッシャーは、この絵を描くことで教会が管理していた「青」を解放し自由に使える色にしたのではないだろうか。
   ・・・・・・・・・・・・・・・私は青を使う。私が使いたいときに!・・・・・・・・・・・・・・・・・・

18世紀末のドイツは「ロマンテック時代」を迎えていた。
作家ノバーネスは叙事的小説を書いた。
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物語の中で主人公の若者ハインリッヒは人生に苦悩していた。そして想像の世界の中で青い花を求めてさ迷い歩くのだ。

この小説はヨーロッパに衝撃を巻き起こし、「青」が注目されることになった。
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ゴーギャンの「眠っている息子」
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ゴッホ
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ムンクの「恋人たち」
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ピカソは若い時、驚くべきシリーズを描いた!
「blue-period(青の時代)」だ。
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ピカソは1881年スペインで生まれた。19歳の時、親友キャサゲイマスと2人でパリに移った。二人は同性愛者だったのでは、という噂も出たくらい仲が良かった。ある日、親友は女友達とバーで飲んでいて口論となり、ピストルで彼女を撃った。彼女は幸運にも逃げ延びたのだが「死んだ!」と思った親友はその場で頭を撃って自殺した。

親友の死を知ったピカソは恐れた!何もかもを。
こうして「青の時代」は始まったのだ。
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行動は異常になった。親友がピストルで撃った女友達と一緒に、親友のアパートで暮らした。
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青の絵を描き続けた。
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1929年、フランス・ニース生まれの芸術家イーブ・クライム
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モノクローム(単色画/単彩画)を好んだ。
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彼のお抱え絵具師エドワー・アダンは言う。
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「彼を引き付けたのは青。海の、そして空の青だ。」
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「それが彼を引き付けたんだよ。青、つまり永遠だよ。」
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「輝くような青を造るには粉を混ぜる油が重要だ。普通の油では暗い、汚れた青しかできゃしない。やっと見つけたのがこの油だ。私はこれをミディアムと呼んでいたんだ!」
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「彼は出来上がった絵具をみて小躍りして喜んだよ!」
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青のモノクローム・・・・・・自由の世界に向いて開いた窓・・・・・・

ある日、彼はエスカポロジーを演じる。
静かな朝、アパートに忍び込み、2階の窓を開けて飛翔した!
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遠くでは電車が駅を通り過ぎてゆく。
自転車乗りは、背後で起きているドラマは露知らず、ひたすら自転車を漕いでいる。

窓から跳んだ彼の目は青い空に向けられている!
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この出来事はThe leap into the void(虚無への跳躍)と呼ばれ、世に知れ渡った。
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幸運にも柔道仲間が助けてくれたので大事には至らなかった。
が、1962年、カンヌ映画祭に参加するために帰郷した日、心臓麻痺で夭折することになる。34歳だった。

アポロ8号は1968年12月のクリスマスに打ち上げられた。
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人類史上初めて、地球の重力圏を脱して月を周回した。
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周回軌道4周目、月の影を抜け光の空間に出た時、息をのむ光景に出合った。
青い星が漆黒の闇に吊り下がるように浮いている!
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輝いている!青い惑星Blue Planetだ!
我らが故郷の地球だ!
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青は空の果てだと思っていた。届く場所ではないと思っていた。
しかし、青は我々が住んでいる地球だったのだ!
(フィルム完)
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時間がありましたらご自身でフィルムをお楽しみください。
このURLでは4分割されているようです。全部で58分です。

次回は6月3日「城壁の不思議」です。お楽しみに。
     
http://www.youtube.com/watch?v=h83jaUTBlX0

(青の不思議の第2回目の完。第3回も検討中です。)

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>いつも我々の周りに在るのに、どういう訳か決して手が届かない。
>例えば、海の青、そして空の青・・・
>触ることは出来ないし、どこまで行っても青い水平線に到達することは出来ない。
>だから我々の想像力を捉えて離さない。

  言い得てますね。
  青は神秘な色。
  
  子供の頃、ツユクサや朝顔の花をすりつぶして
  青色を作って遊んだ記憶がありますが
  絵画などにラピスの青が入ると俄然生きてきますね。

    

  

monalisa | URL | 2014-05-30(Fri)22:26 [編集]


青のゾクゾク編もお楽しみに

ラピスラズリが私が紹介したBBCフィルムの青のように鮮烈だったとは、私自身も驚きました。ネックレスなどで市販されているラピスラズリは深い青(蒼というのでしょうか?)が多く、輝く青は少ないのです。どんな工夫で絵具を造るのか、それとも輝く青の石も実はあるのか?BBCフィルムの中の石はキラキラ輝くような青でしたから、ラズリにもいろいろあるのでしょう、多分。ウズベキスタンで見つけたら買ってきて紹介しましょう。
ところで次回6月3日(城壁の不思議)に続いて6月8日(青の不思議(続々篇))を校了してます。段々と内容が乏しくなって恐縮ですが、これもお楽しみに。

なお子供のころ、野に咲く青い花で染物遊びをしたようですが、インディゴなど、青の染料は、はっきりしないのですが多分、根ではないかと思うのですが・・・紅花は普通、黄色いのに染料につかうと赤ができるようですから、青い花から青が出来るとは限らないし、でも出来ることもありそうだし・・・染物も奥が深そうですね。染物の不思議も考えてみましょう、ブログの題材に。でも自分で染めてみないと新鮮なブログのネタにはなりそうにないですね、どうしたものか。

mystery hunter | URL | 2014-05-31(Sat)10:38 [編集]