Mysterious Questions In The World

世界のミステリーをご紹介します。

青の不思議(続々篇)

青の不思議(続続編)  2014年6月8日  Mystery Hunter

いよいよ3日後、ウズベキスタンに向けて出発です!

「青天蓋モスクの不思議な質問」の答えは、現地調査を待たずして答えが出尽くした感もありますが、それは軽薄な思い上がりというもので、現実が予測と異なるのは日常茶飯事です、特に私の場合!

旅先で、どれだけ「青天蓋モスクの不思議」に迫れるか、全く予断を許しませんが、力の限り調査してきましょう。地産ビールを味わいながら情報分析と推敲を重ねるのです!

で、今回は、ネットで入手した「青」に関する情報の続編、青のシリーズとしては続々篇となります、をご紹介したいと思います。

   第一回(5月8日) なぜ青か?
   第二回(5月28日)青の不思議(続編)
   第三回(今回)   青(続々篇)


その前に例によって、漢詩をひとつ!

独坐敬亭山  李白 (独り敬亭山に坐す)
  衆鳥高飛尽  衆鳥(しゅうちょう)高く飛んで尽き
  孤雲独去閑  孤雲 独り去って閑(しず)かなり
  相看両不厭  相ひ看て 両(ふた)つながら厭(いと)はざるは
  只有敬亭山  只だ敬亭山有るのみ

数多くいた鳥たちも高く飛び去っていなくなり、ぽっかりと浮かんでいた雲も消え去って静けさが辺りを包む、互いに見詰め合って飽きないのは、この敬亭山があるのみだ
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  岩に座って敬亭山を仰ぎ見ている李白。山は青い空を背景に聳えています。

下は現在の敬亭山です。
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アンテナが建てられているのは残念です。アンテナは別にしても、取りたてて観るべき程の山とは思えませんが、我が李白先生が友としたのですから何か好い処があるのでしょう。
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<青について>

ミッシェル・パストゥローというフランス人の紋章学の権威が書いた本が発売されていました。
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2005年、筑摩書房発刊で定価¥4,644。買ってみようと思ってネットで探したのですが、丸善や紀伊国屋書店では在庫がなく注文も受け付けないとのこと。絶版の様です!
で見つかったのはamazon.co.jpのオークション(?)の中古品で「¥10,723より」でした。少々お高いので、今回はパスすることにしました。

本の解説がありました。関心あるところを抜粋すると次の通りです。

「ギリシア・ローマの人々(mh注1)にとって、青は不快な野蛮の色だったが、現代では最も好まれる色となっている。フランスの紋章学の鬼才が、古代社会から現代に至る青の「逆転の歴史」を西洋史のエピソードと共に鮮烈に描き出す。」

「青という色は自然界にポピュラーに存在していたにもかかわらず、使いこなすには時間がかかったようだ。後期旧石器時代の壁画は、赤、黒、茶色などで描かれ、青や緑の色彩はない。」

「古代ローマでも青色はあまり評価されず肯定的にとらえられない色であり続け、中世初期に到っても象徴性を持たなかった。」

「12世紀以後、青は急速に流行の色、貴族の色に変貌していったという。聖母マリアの青い衣がアトリビュート(mh注2)として描かれはじめるのもこのころで、教会のステンドグラスに深みのある青が多く使われはじめるのもこのころかららしい。中世末期になると青は気高い高貴な色として君臨する。」


(mh注1)ギリシャ・ローマ:欧米人の概念では、ギリシャとローマが文化の源!他国の人は野蛮人ですから絵画などへの関心は持ち合わせていなかった、と暗示しています。差別的ですが、事実かも。
(mh注2)アトリビュート:《特性・属性の意》絵画や彫刻などで、神あるいは人物の役目・資格などを表すシンボル。例えば、王の冠と笏(しゃく)。

纏めると
「青は自然界でごく普通に見受けられる色だったにも拘わらず、人々の関心は薄く、否定的だった。が、12世紀頃から高貴な色として急速に認知されるようになった。」
となります。

古代では不快な色とされていたようですが、何故でしょう?

底が知れぬ深さを秘めた青空に対する恐怖とか畏敬の念からでしょうか?ウズベキスタンのオアシスの街ヒヴァの夜明けの城壁の空のような!
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5月28日「青の不思議:続編」でご紹介したように、ラピスラズリを使った絵具が流行るまで、くすんだ青しかなかったようですから関心は薄かったと思います。
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        (上:9世紀のイコンで「第七全地公会」の様子を描いたもの)

その青が広く世間に認められる切っ掛けについての説得力ある情報はネットでは見つかりませんでした。

漠然とした情報の中で最も信憑性が高いのは、ラピスラズリ登場説でしょう。この石を使った絵を見て、青の素晴らしさに目覚めた、ということで間違いない!と思います。

そもそも、洞窟絵画などが現れる数万年前よりも更に昔、人類史が始まった時から、人は空と海の青を見ながら暮らしてきました。青を受け入れる感性は遺伝的に持っているはずです。

また、鮮烈で、印象的で、いつも身近にある色、それは青の他には思いつきません。強いて言えば砂漠の砂の色でしょうが、そんな場所には我々の祖先が好んで住んでいたとは思えません。また緑の草原も圏外です。草原はやがて花でピンクや黄色のモザイクになり、ついには枯れて大地の色に吸収されてゆきます。雪原の白も夏は消え失せて留まることはありません。

やはり空と水の「青」は人間の根源的な色だと思います。

それほど我々に身近な色だったのに、表現する好い絵具が無かったために長く忘れ去られていて、ラピスラズリの絵具の出現を機に、内に隠されていた感性が一気に目を覚ました!と推察します。

インターネットで「青」を探していたら、他の写真と一緒に、私がブログ用に作った資料が見つかりました!ラピスラズリとトルコ石の写真です。
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    ラピスラズリ:Lapis(石)Lazuli(群青の空)
    ターコイズブルー:Turquoise(トルコ石)Blue(青)

2つとも青の代表格です。
上の写真では、トルコ石はラピスラズリと比べると緑色です。が、ラピスラズリを掌で隠すと、青く見えてくるから不思議です!

実はウズベキスタンの古都サマルカンドの青天蓋モスクの多くも、青と緑が混じり合った不思議な色をしています。
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青タイル用の釉薬にはコバルト、ニッケルなどの化合物が使われます。これを土の成分と混ぜ合わせて素焼きした土の板に塗り、1000℃位の温度で焼けば出来上がりです。コバルトは中近東で多く産出されていたようで、青タイルの量産には好都合だったこともウズベキスタンに青天蓋モスクが多い理由でしょう。
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          (上:アフガニスタンの青いモスク)
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           (上:イランのイマーム・モスク)

自然界の青と言うと、身近なところで紫陽花が思い浮かびます。
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ラピスラズリのような鮮やかな青の紫陽花ですねぇ!
我が団地からバスと電車で乗り継いで1時間程の鎌倉の明月院は、この花で有名です。

青いチューリップもあるようです!
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サントリーと新潟県は、2012年、青百合を共同開発しました!
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実は、サントリーは同じ技術で2004年、青薔薇を開発していたのです!
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どうです、信じられないでしょ!

そう、信じてはいけません!

実は白バラを青い塗料で着色したものです!
知りませんでした!!このような青薔薇が市販されていたとは。

で、サントリーが開発した青薔薇ですが・・・・・・勿論塗料は使いません!
遺伝子組み換えで造られました。Applause(拍手!)と呼ばれているようです。
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海外でも賞を取ったとか。

「これは青ではなだろう!」というブーイングが聞こえてくるようです。
確かに、紫とかラベンダーと言うほうが適当かと・・・

サントリーの名誉のため、別の写真を紹介しましょう。
これなら青と言えるかも。何の手心も加えてはいません、あなたの錯覚を除けば。
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http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E3%81%84%E3%83%90%E3%83%A9_(%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%BA)

青といえば、やっぱブルージーンズでしょうか。
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生地はデニムです。

Wiki:デニム(denim)
10番手以上のタテ糸をインディゴによって染色し、ヨコ糸を未晒し糸(染色加工をしていない糸)で綾織りにした、素材が綿の厚地織布。生地の裏側に白いヨコ糸が多く出るのが特徴。

で、インディゴとは何かというとこれ。
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ラピスラズリのように見えなくもありませんが、石ではありません。
主にインドアイという草から造った染料液の沈殿物です。
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左:インドアイ                 右:藍(徳島県で栽培)

<青は藍より出でて藍より青し>
「藍」とは、染料に使う藍草のことで、藍草で染めた布は藍草よりも鮮やかな青色となる。その関係を弟子と師匠にあてはめ、弟子が師匠の学識や技術を越える、という意のことわざ。荀子の言葉で、学問や努力により持って生まれた資質を越えることができるということ。
「青は藍より出でて、藍より青し。氷は水これをなして、水より寒し」に基づく。
   青、取之於藍、而青於藍、
    氷、水為之、而寒於水。
(以上ネット辞書より引用)
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             (上:明るい青の布)

女房殿のお供をして先日、ショッピングに行きました。ダイエーや専門店のあるモールを見て廻るのですが、女性用の衣装を売るお店が多いですねぇ。で、どんな青があるか、注意していましたが、ラピスラズリやトルコ石のような「輝く青」の服は見当たりません。

「青は絵具だけでなく、布の染料としても難しい色なのかなぁ」なんて思っていると、高島屋デパートのショーケースに鮮やかな青の布で出来たバッグが展示されていました。値札が良く見えなかったので値段は判りませんが、きっと数万円です!オラン・ウータンのような縫い包み人形が手提げにぶら下がっていました。ブランド品でしょう。

古代の青ではエジプシャン・ブルーが有名です。エジプトが発祥地だと思います。
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顔料(材料)は主にアズライト(藍銅鉱)とマラカイト(孔雀石)です。
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  上:アズライト(藍銅鉱)   下:マラカイト(孔雀石)
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でもツタンカーメン(紀元前1342年頃 - 1324年頃)のデスマスクに使われているのは・・・・・

11kgの黄金と、「ラピスラズリ」です!!!
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この一件で「ラピスラズリによって青の文化が生まれたと言って過言ではない!」と強く確信するに至りました!

以上で青の不思議シリーズは一先ず終了とさせて頂きます。

次回6月13日は「青タイルの不思議」(予約自動投稿)です。お楽しみに。
13日はウズベキスタンのヒヴァ辺りを不思議を求めて彷徨っているはずです。

(完)

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コメント


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サントリーの開発したバラ Applauseは、1本3700円もするんですね?!
バラは、やっぱり自分で育ててみたいです。

青い色素を持ったバラ『青龍』
育てるのが難しそうですが、挑戦したくなりました。

藍染の服は持っていますが、明るい青の服は?
目鼻立ちのはっきりした人なら似合いますね。
結構、着こなすのが難しいのでは?

それに洋服の色って、流行がありますから~ね。
今年は、何色が流行りかしら?
http://mery.jp/12243

アラアラ?!
ダズリン・ブルーとラディアント・オーキッドですって~!!

そういえば、私の中でのトレンドカラーは、ラディアント・オーキッド
迷いに迷って昨年の秋、通勤用にこのカラーのトートバックを買って気に入っています。

青は不快な野蛮の色、肯定的にとらえられない色~とは
>いつも我々の周りに在るのに、どういう訳か決して手が届かない。
>例えば、海の青、そして空の青・・・
>触ることは出来ないし、どこまで行っても青い水平線に到達することは出来ない。
>だから我々の想像力を捉えて離さない・・・というように
底が知れぬ深さを秘めた青空や海の深さに対する恐怖や畏敬の念を示すことからも伺えますね。

所で、ラピスラズリーは、パワーストーンとして持つ場合
身につけることによって、普段らしくない経験をすることもあるようですね。それは、ラピスラズリが教えてくれる魂を磨くためのメッセージで、その意味は後になってわかるはず・・・とのこと。
ウズベキスタンで、ラピスを買うようなことがあったら
よい運をもたらせてくれる・・・持ち主を本当の意味で磨いてくれる奥深いパワーをもつラピスラズリに出会えますように





monalisa | URL | 2014-06-09(Mon)08:27 [編集]


今年の流行色って予測されてるんですね。

ダズリングブルーとラディアントパープルが今年の流行色って発表されていたんですね。流行を創るのが発表の意図だと思いますが、何かを根拠に予測しているとしたら、どんな情報に基づいてどんな理論で結論を導いたのか?不思議です!

ピーターの法則、マーフィーの法則、イグノーベル賞を受賞した数々の発明(面白そうなので調べてみようと、今、思い立ちました!)など面白い理論が創造されています。庭の花も、自然の力の及び具合の差から、色や形が異なるのは自明の理だと思いますが、これを論理的に解明できたらイグノーベル賞も夢でないかも。薬学の知識も動員して研究ノートを作り、論文にまとめる、ってのはどうでしょう。それにしても、井伏鱒二の「ハナニアラシノタトエモアルゾ、サヨナラダケガジンセイダ」ではありませんが、風雨や雹(!)、冷夏暖冬にも気を配らねばならないのでしょうから、あなたもそうでしょうが、お百姓さんの苦労は測りきれません。

mystery hunter | URL | 2014-06-09(Mon)09:58 [編集]