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青タイルの不思議

青タイルの不思議:ウズベキスタン      2014年6月13日 Mystery Hunter

まずは例によって漢詩を一つ。

勧酒(酒を勧む) 于武陵(うぶりょう) 
  勸君金屈卮  君に勧む金屈卮(きんくつし)
  滿酌不須辭  満酌 辞するを須(もち)いざれ
  花發多風雨  花(はな)発(ひら)いて風雨多し
  人生足別離  人(ひと)生きて 別離足(み)つ


君に勧めよう、この黄金に輝く杯で、なみなみと注がれた酒を、どうか辞退などしないで飲み干してくれたまえ。花が開く時期こそが風雨の多い時期でもある。人として生きる以上、別離は避けがたいものなのだ。
井伏鱒二の名和訳“ハナニアラシノタトエモアルゾ。「サヨナラ」ダケガ人生ダ。”の元になった漢詩です。
でも、漢詩の本意は、人生でも別れでもなく、題にあるように酒を勧めることでした!
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では気分を入れ替えて「青タイルの不思議」です。

モスクの青のドームは、レンガで造られたドームの表面に、薄くて青いタイルを漆喰や粘土などで張り付けて造られています。
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またモスクの壁面や天井の装飾は、大抵の場合、青を含む彩色タイルが、これまたレンガに張り付けられていることがほとんどです。
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この、装飾や耐候性向上を目的とした彩色タイルには、大別するとモザイクタイルと絵付けタイルの2種類があります。
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どうです?モザイクタイルと絵付けタイルの違いに気づかれましたか?

まず絵付けタイルですが、製造工場の写真があります。
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長方形、または多分こちらの方が多いと思いますが正方形、の粘土を焼いて造った素焼きタイルの板を床に敷き並べ、いろいろな釉薬を使って絵を描きます(絵付け)。これを炉に入れて1000℃前後の高温で焼けば出来上がりです。

釉薬の成分は金属化合物です。
  鉄・・・赤、茶、黄、褐色、黒
  銅・・・緑、水色、赤
  クロム・・・緑、紫、ピンク、黒
  コバルト・・・青
  ニッケル・・・青、緑
  アンチモン・・・黄
  錫・・・白
  マンガン・・・紫、褐色、ピンク
コバルトを含む鉱石は、中央アジアでは比較的多く見つかります。これを粉にし、灰汁に溶かせば青の釉薬の出来上がりです。

次にモザイクタイルですが、モザイクとは何かを確認しておきましょう。
Wiki:
モザイク(英語:mosaic)は、小片を寄せあわせ埋め込んで、絵(図像)や模様を表す装飾美術の手法。石、陶磁器(タイル)、有色無色のガラス、貝殻、木などが使用され、建築物の床や壁面、あるいは工芸品の装飾のために施される。この装飾方法は古くから世界的に見られ、宗教画や幾何学模様など様々なものが描かれており、歴史上、カテドラルの内部空間やモスクの外壁などの装飾手法として特に有名である.
(Wiki完)

ウズベキスタン・サマルカンドにあるモスクの、劣化が進んだモザイク壁面です。
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花の形をした白タイル、花芯の丸い形の青タイル、花の周りに配置される花びらの形をした青タイル、花びらと花びらの間を走る筋のような形をした青タイルなど、何種類かの形状と色をした小片が漆喰などでレンガの壁に貼り付けられて模様を形成していましたが、漆喰の劣化で、小片が取れて下地が見える部分が見受けられます。

モザイクタイルの壁では、同じパターンが繰り返す幾何学模様が圧倒的に多くなっています。少ない種類の小片タイルを沢山造っておけば広い壁面に同じパターンを繰り返して広い面積に模様を展開できるからです。一つのパターンで使われる小片の種類は、普通は10種程度でしょうか。

2つのタイルの特徴は次の通りでしょう。
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<絵付けタイル>
複雑なカラフルな文様の壁画でも容易に造ることが出来ます。
例えば正方形のタイルを敷き並べ、いろいろな色の釉薬で絵を描いて炉で焼けばタイルは完成です。あとは壁に順序通り張り付けていけば壁画の出来上がりです。

<モザイクタイル>
いろいろな形の土の板を素焼きして小片タイルを沢山造り、小片の種類毎にその小片固有の色の釉薬を塗り、炉で焼き上げます。出来上がった、形や色が異なる彩色小片タイルを、図柄に合わせ漆喰で壁に張り付けます。
絵付けタイルと比べると、彩色小片タイルの製作に何倍もの手間がかかります。また壁に貼り付ける作業も、大きな正方形タイルを張り付ける絵付けタイルの場合と比べ、何倍もの時間が必要です。

印度・タージ・マハルの修復を紹介した「BBC地球伝説」では、ドームのタイル修理だけではなく、大理石の壁画の修復作業も紹介されていました。
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必要な小片を準備しておきます。大理石だと思いますが、彩色タイルの小片や貝殻などもあるかもしれません。

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小片を埋め込む部分の窪みを台座の大理石に掘り込みます。

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小片を嵌め込んでみます。しっくりしないようです。

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窪みの形や深さを修正します。

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今度はピッタリ嵌りこみました!

タージ・マハルの壁面模様は大理石ですが、小片を組み合わせて図柄を造る点でモザイクタイルの壁面の造り方と同じです。

各小片の色は単色で、表面に塗布される釉薬の膜厚は薄く平坦に仕上がるので、均質な単色の彩色小片タイルが仕上がります。従って、これらの小片を組み合わせた幾何学模様はスッキリしているというか、評論家ではないので適切な言葉が思い浮かばないのですが、メリハリが効いた絵になるのです。

一方、絵付けタイルでは、一般的に絵筆を使い、異なる色の釉薬をタイルに塗って絵を描くため、筆圧のバラツキで釉薬の厚さが変化したり、色と色の境目で異なる釉薬が混じり合って変色したり、筆で塗られた釉薬とそうでない領域との境目で表面に段差が出来たりするため、特に色が切り替わる境目が汚く、かつ、絵付け後に焼き上げたタイル表面の釉薬が平坦ではないので、光の反射にムラが出来て、仕上がった模様や絵は均質感に欠け、粗雑な印象になります。

これを改善すべく製造方法も進歩してきたようで、新しい絵付けタイルの壁画にはモザイクタイルの壁画と遜色ないものもあるようです。
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恐らく、均質なモノトーンのタイルを焼き上げ、その上に釉薬1種類で絵を描き、焼き上げ、また別の釉薬で絵を描き、また焼き上げ、という、一色毎の炉入れ工法が採用されているのではないかと推察します。

次回6月18日は「Googleの不思議」(自動投稿)です。お楽しみに。

(完)
P.S.校了したのはウズベキスタン出発前の5月28日です!新情報が見つかりましたら旅行後、報告いたします。

既にいろいろな情報をゲットしたので、ウズベキスタンに行く必要もなくなったのでは?と心配する向きもあるかもしれませんが、そんな上っ面だけで本当の良さは味わえるものではありません。旅とは、普段と異なる空間で、普段と異なる空気や人に触れながら、普段と異なる時間を過ごすことだと思います。ウズベキスタンの好さを感じるにはウズベキスタンに行くしかありません。
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